2021年02月12日のエンタメ研究所の過去記事
2月12日(金) ※2月14日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
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▼ 対話を繰り返す
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スケッチブック上に鉛筆を走らせて、ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』のことをボンヤリと考える日々をおくっております。
もともとは去年9月にニューヨークのオフブロードウェイで初演をおこなう予定だったのですが、コロナの影響で延期となり、日本公演が先になりました。
僕は「原作・脚本・演出」というポジションで参加させていただくのですが、「演出」のお仕事をずっと続けていくつもりはありません。
クリエイティブのお仕事は積極的に次の世代に渡していく気でいます。が、「立ち上げ」には立ち会って、「この作品は○○を大切にしていきましょうね」という対話を繰り返し、作品の方向性だけは決めておきたいなぁと思って、今回、「演出」として手を挙げました。
ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』の制作に興味がある方は是非観にいらしてください。そして、ご自身のポートフォリオをスタッフに見せてください(実力で勝ち取ってください)。
信頼に足る才能であれば、その場で僕の仕事をあげます。
ところで。
チームでモノを作るとなると「対話」は必要不可欠です。
とりわけ「世界を獲る」となると、そこにはとてもとても長い時間を要さねばなりません。
表現されたもの(結果)だけを真似ても無駄で、「何故、その表現に至ったか?」を構造から理解し、共有しておかないと、応用(再現)が効きません。
厨房は1秒を争う戦場なんだ。
「かぼちゃのブリュレを作っておいてくれよ」とスタッフに指示を出した時に、「ブリュレって、どうやって作るの?」と返ってきたら、厨房が焦げつくだろ?
究極は「あそこは、イイ感じにしといてください」という指示を出すことになるのですが、その課題をクリアするには、やはり「イイ感じ」を共有しておかなくちゃいけません。
ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』には、とくに長い長い対話が必要だと感じました。
「国を越えて制作する」となると、公演によっては大きくスタッフが変わる場合があります。
その時、必要なのは、長い対話によってまとめられた「理念」で、そのルールブックが無いとクオリティーにバラつきが出てしまいます。
なので、少しでも気になったことがあれば、制作チームのLINEグループに(図解付きで)投げるようにしています。
呑みに行っては、スタッフが別の現場で抱えたストレスも聞き出します。
そして、もしかしたら、この記事を読んでくださっているサロンメンバーさんの中にも、将来のスタッフが混じっているかもしれないので、ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』で僕が気をつけていることを、今日は一つだけ共有しておこうと思います。
前置きが死ぬほど長くなりましたが、ここからが本題です。
今から話す内容の冒頭部分は2年ぐらい前にも話しましたが、お付き合いください。
どちらも演出でプロジェクションマッピングを使うのですが、『アナ雪』は最初から最後まで、ありとあらゆる魔法表現がプロジェクションマッピングでおこなわれて、挙げ句の果てに、「氷の橋を作るシーン」はスクリーンに映像が投影される始末。
僕を含む多くの人の感想は「そんなに映像を使うんだったら、映画でよくね?」だったと思います。
一方、『ハリー・ポッター』のプロジェクションマッピングの使い方はとても上品なものでした。
魔法で時空を超える瞬間に、ほんの一瞬だけ、ステージセット&小道具の輪郭に、マッピングで「輪郭線」が映しだされ、その輪郭線が一度だけグワンと揺れるんです。
ここに舞台人としての覚悟を見て、僕はいたく感動しました。
……というのが、二年前にお話しした内容です。
これからミュージカル『Poupelle of Chimney Town』を作る上で、「舞台『ハリー・ポッター』は何故感動したのか?」を、もう少し下げて考える必要があります。
こうなってくると、考え方はまったく逆転して、100人中100人が「これは舞台表現では再現できないだろ」と思うところを、どうにか舞台表現でクリアして、その凄みを際立たせる為に、その前で効果的に映像技術を使う。
感動は、そこに眠っていると思います
今後も、こういったことをスタッフは勿論、サロンメンバーの皆様とも細かく共有していきたいと思います。
引き続き、宜しくお願い致します。