西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年01月06日のエンタメ研究所の過去記事

1月6日(水) ※1月8日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
孫からの評価はすこぶる悪いのに、毎度、孫に『おかき』を買ってくるお婆ちゃんの強靭なハートを見習いたいキングコング西野です。
さて。
今日は『ロングセラーを狙え』という話をしたいと思います。
えんとつ町のプペル』プロジェクトの解説を自分でしてみます!
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▼ どの結果を見るか?
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すでにお聞きになられているかもしれませんが、『映画 えんとつ町のプペル』は先週の日曜日(1月3日)の段階で、観客動員数【63万人】、興行収入【8.7億円】を記録し、今日か明日にも興行収入10億円を突破する勢いです。
この数字に関しては応援していただいた皆様に深く感謝すると共に、「イイ滑り出しだなぁ」といったところでして……それよりも(「それよりも」というのはアレだけれども)僕が注目しているのは「土日前週比」の【80%】をキープしているという点です。
※前週は公開日
要するに観客動員数が減っていっていないんです。
先週、『劇場版 ポケットモンスター ココ』を抜いて3位にランクアップした理由がまさにコレで、「プペルの観客動員数が減っていないのに、ポケモンの観客動員数が減ったからランクアップした」という結果です。
ジワジワと口コミが広がっていっているのもありますし、「2プペ」「3プペ」というリピーターが生まれているのも大きく影響していると思います。
ちなみに僕は12プペです。
僕が仕掛けているエンタメは300年戦争ですので、「売上○万部!」といった“その瞬間のグラフの「高さ」”にはあまり興味がありません。
見ているのは、いつもグラフの「角度」です。
要するに、「スタンダードになりうるか?」という問題です。
目指すは、山下達郎さんの『クリスマス・イブ』で、同曲は去年、35年連続で「オリコン週間ランキングTOP100入り」を果たしたそうです。
絵本『えんとつ町のプペル』も(実は地味に)毎年6~7万部の重版を繰り返しておりまして……現在、発行部数は60万部(58刷)を突破しました。
『クリスマス・イブ』と『絵本 えんとつ町のプペル』の共通点は、「普遍性(スタンダード)」と「売り場」の両方を獲得しているところだと思います。
『クリスマス・イブ』は毎年クリスマスシーズンに「売り場」がやってきて、『絵本 えんとつ町のプペル』は、たとえ書店で取り扱われなくても、個展会場や『こどもギフト』といった「売り場」が常に存在します。
『こどもギフト』→https://salon.jp/child_gift
ちなみに、「売り場」を確保したところで、その売り場で提供する作品が「一過性のもの」であったら意味がない(売り場の固定費が無駄になる)わけで、やはり大切なのは作品に『普遍性』があることだと思います。
『普遍性』を表す一つの評価として『グラフの角度』があるわけで……僕が今狙っているのは“『映画 えんとつ町のプペル』を毎日(365日)上映しているプペルの専用劇場”の建設なのですが、その劇場で流す作品としては、『映画 えんとつ町のプペル』はイイ感じのグラフの角度だなぁと思っています。
興行収入10億円突破」で「イイ感じだと思う」なんて言っていると、そのスケールの小ささに肩を落とすサロンメンバーさんもいらっしゃるかもしれませんが、西野はその一点を見て「イイ感じ」と言っているわけではありません。
西野はグラフの角度(※前週比)を見て「イイ感じ」と言っていて、(もうチョット見ないと判断できませんが)この感じのグラフの角度(リピート率)をキープする作品であれば、あとは「売り場」を確保すれば、「興行収入100億円」はいくと思います。
そして、今日は、もう少し踏み込んだ話をしたいと思います。
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▼ 巡り巡る物語
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『映画 えんとつ町のプペル』には、いろんな「ポジション」のキャラクターが登場します。
・ブルーノ(行き先を指し示す人)
・ルビッチ(実行する人・ドリーマー)
・プペル(無償の愛を捧げる人)
・ドロシー(実行する人の理解者)
・ローラ(子供を送り出す人)
・スコップ(一人では声をあげられなかった人)
・トシアキ(人々を守る制度を守る人)
・レター(人々を守る制度に限界を感じている人)
・アントニオ(「元ドリーマー」のドリームキラー)
……メインどころをザッとあげるとこんなところです。
おそらく、『映画 えんとつ町のプペル』を観られる方は、このキャラクターのどれかに自分を投影して観ていると思います。
そして、それ(見るキャラクター)は、その時の自分の立場によって違ってきて、五年前はルビッチだったのに、今はアントニオになっていることもあれば、10年前はルビッチだったのに、今は、トシアキになっていることもあるでしょう。
レター一族も元々は自由を求めて外の世界に出たので、ルビッチと変わりません。
しかし、自由を守る為に制度を設けた結果、誰かの不自由を作ってしまったのがレター一族で、それはルビッチ達の未来の姿かもしれません。
アンチヒーローが結果を出せば、体制側になってしまうのは世の理で、ここは未来永劫繰り返されると思います。
細かい話をすると、途中、ルビッチとプペルが「友達」になるシーンがあるのですが、あのシーンでプペルが「友達」を理解し、納得をして、握手しちゃったらダメなんです。
正式な契約を結んだ瞬間に「見返り」が発生してしまって、「無償の愛を捧げる人」ではなくなってしまうので。
要するに、「アンタのやってること、よく分からんけど、アンタがやるやったら手伝うわ!」という人を作中に残さなきゃいけないんです。
大切なのは「各ポジション」と「ポジションチェンジ」と「体制側の正義(言い分)」を丁寧に描くことで、そこを描きさえされば、子供から、その昔子供だった大人まで、感情移入できる作品となり、見るタイミングによって感想が変わり、普遍性(リピーター)が生まれるのかなぁと思いました。
このように普遍性というものは偶発的に生まれるものではなくて、明確な理由(戦略)が存在して初めて生まれるもので、とかく西野亮廣が狙っているのは超ロングセラーです。
「年齢や立場によって繰り上げってしまうお客さんの感情移入先をデザインして、長く長く愛される作品にしましたよ」という話なんて、他所でできないので、ここでやってみました。
たまには、こういう回があってもいいっすよね😊
そんなこんなで、今日も僕はドブ板営業です。
緊急事態宣言中の打ち手については、まだ何も思いついていないので、今日の23時30分にYouTubeの生配信をして、そこで考えたいと思います。
お付き合いください。
大変な日が続きますが、お互い、頑張りましょう!
現場からは以上でーーす。
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino
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https://www.lawson.co.jp/lab/store100/art/1423494_7419.html
 
 
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