西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年02月08日のエンタメ研究所の過去記事

2月8日(月) ※2月10日以降は『いいね』を押さないでください。
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東京五輪パラリンピック組織委員会森喜朗会長の女性蔑視発言を、海外メディアは「(性差別)高速道路を時速320キロのスピード違反!」という比喩表現で痛烈に批判したそうなのですが、森さんの暴走感を演出したいのであれば「一般道」の方が絶対にいいよなぁと思っているキングコング西野です。
さて。
今日は『最初から世界展開を見越した作品制作』というテーマで、クリエイティブに針を振り切ってお話ししたいと思います。
後半、サロンメンバーさんにもお仕事としてお願いしたいことがあるので、最後まで諦めずに読んでください。
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▼ 二次展開、三次展開、四次展開を見越した脚本づくり
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そもそも僕は、僕が死んだ後(※西野の影響力が無くなった後)もエンタメを回し続ける前提で作品を作っているので、基本的には、作品単体で簡潔してしまうような作品は生みません。
『映画 えんとつ町のプペル』や『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』の中に、現実世界に存在するスナック『Candy』を登場させて、映画のお客さんを『Candy』に流し、数年後、『Candy』のお客さんに、『映画 えんとつ町のプペル』や『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』の存在を見つけてもらいます。
『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』には、毎年年末におこなっている『天才万博』というフェスが出てきますが、それも同じ狙いです。
『映画 えんとつ町のプペル』のトロッコのシーンでニヤッとされた方は、僕の下心を読み取られたのだと思います。
その通りです。
ロッコのレールの起伏のパターンは、ジェットコースターの一番オーソドックスなパターンです。
西野が、あの映像(シーン)だけで完結させるわけないんです(笑)
物語の舞台を作るときは、「VR」のことも考えます。
VR映えを考えると、「行きたくなる町」で、なおかつ「高低差のある町」の方が良いでしょう。
ドラゴンボール』の寿命を伸ばした理由の一つに、「スカウター」が考えられます。
あそこでキャラクターの強さを数値化したことによって、一気にゲーム対応しやすくなりました。
ゲームから『ドラゴンボール』の原作にハマったファンも少なくないと思います。
……ま、そんな感じで、「サービス(生活空間)に落としこめるようにファンタジーを作り、現実世界とファンタジー世界の間を行ったり来たりしてもらうことで、ファンタジーの寿命を伸ばす」ということをやっています。
「ただ、感動する脚本を書けばイイ」ということじゃないんです。
プロなのだから、感動する脚本を書くのは当たり前の話で、「50年後も、100年後も残るようにするにはどうすれば?」というお話です。
そんなこんなで本題です。
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▼ ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』の攻め方
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今年の11月14日~28日に東京キネマ倶楽部でミュージカル『Poupelle of Chimney Town』を上演します。
スタッフからは、会場の候補として、ものすごーくやり易い劇場と『東京キネマ倶楽部』の二択を出されましたが、まよわず、東京キネマ倶楽部を選びました。
東京キネマ倶楽部を選んだ理由は3つ。
①雰囲気が良い
②キャパが小さいのでチケット代で回収できない(=プロセスエコノミーを試す場としてもってこい)
③どう考えたって、やりにくい
今回、議論したいことは③です。
東京キネマ倶楽部は、もともとはグランドキャバレーで、芝居小屋でも何でもないんです。
なので、舞台セットを収納する舞台袖のスペースなどありません。
バトン(天井からアレやコレの吊るすバー)もありませんし、緞帳(舞台の幕)なんかもありません。
「演劇・ミュージカルなんかやらせるものか!」という作りです(笑)
ミュージカルを作る上では吐き気がするほど制限が多いのですが、逆に言うと、この会場で成立させられる舞台を作れば、どこにでも持っていけます。
それこそ、フィリピンのスラム街でも、ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』を上演できます。
バトンがあれば、バトンを使っちゃうんです。
でも、バトンを使った時点で、屋外公演はできなくなる。
二次展開にブレーキがかかるんです。
それだと時間を割いて作った意味がありません。
まずはミニマム(最小の武器)でゴールまで走りきれる作品を作る。
あとは会場の機能に合わせて、演出をプラスアルファしていけばいいと思います。
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▼ 世界を力でねじ伏せる
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さて。
「バトンにモノが吊れない」となると、『えんとつ町のプペル』の冒頭シーンの「ゴミ山に落ちてきた心臓にゴミがアレコレくっつくシーン」はどう表現すればいいのでしょうか?
(このシーン↓)
考えられるのはプロジェクションマッピングですが、テクノロジー表現は1年後には古くなります。
(※これについては後日、もう少し深掘りします)
わざわざ1年後の表現に負けてしまうものを作っても仕方がないので、マッピング案は却下。
心臓にゴミが巻き付くシーンをどう表現するか?
僕は『龍踊(じゃおどり)』がイイと思っています。
もとは中国の雨乞いの儀式で、今では「長崎くんち」などで見られる、「長い棒の先についた玉」を、「長い棒の先についた龍」が追いかけ乱舞するアレです。
あの玉は「太陽」を表していて、龍が呑み込むことで、雨(恵み・希望)が降るストーリーになっているのですが、僕は太陽も雨も「恵み」だと考えています。
ゴミが心臓を飲み込んだ瞬間から物語が始まり、ゴミが心臓を吐き出した瞬間に夜空の煙が晴れる『えんとつ町のプペル』と、『蛇躍』のメッセージは重なる部分があります。
あと、シンプルに「アメリカの弱点」であり「アジアのアドバンテージ」を考えた時に、真っ先に出てきたのが『歴史』で、ウン百年(下手すりゃウン千年)アップデートされ続けてきた表現には、誰も敵いません。
伝統芸能には、動きの無駄がまったくないんです。
「歴史」こそがアジアの力です。 
というわけで……
『「龍のようなゴミの塊」を作って、ステージ上で、ゴミの竜巻を起こす(=龍踊を披露する)』
これだとバトンを使いませんし、場所を選びませんし、歴史(時間)を味方につけることができます。
オリジナルミュージカルで世界を攻める時のやり方は、おそらくコッチの方向で、「勝てる場所を適切に選んで勝つ」がイイと思います。
そんなこんなで『龍踊』を学びたいのですが、……サロンメンバーさんの中に『龍踊』の先生はいらっしゃいませんか?
(※「お客様の中にはお医者さんはいらっしゃいませんか?」みたいなやつ)
いらっしゃったら、コメント欄まで御一報ください。
長崎でもどこでも飛んでいきます!
サロンメンバーの皆様におかれましては、今回のミュージカルが完成するまでと、その先の世界展開まで、是非、見届けてくださいませ。
「あ。ホントに世界を獲っちゃうんだ」という瞬間をお見せします。
現場からは以上でーす!
【追伸】
サロン記事の感想を呟かれる際は、文章の最後に『salon.jp/nishino
』を付けて《本垢》で呟いていただけると、西野がネコのようになつく場合があります。
キンコン西野と一緒に『映画 えんとつ町のプペル』を観る会】
感染症対策で、写真を撮ったり、サインをしたり、お手紙を受け取ったり、お喋りをしたりすることはできませんが、全力で会釈させていただきます。
お時間あれば是非😊
 
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