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2021年05月25日のエンタメ研究所の過去記事

5月25日(火) ※5月27日以降は『いいね』を押さないでください。
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「屋根裏でニシキヘビが見つかった横浜市で、今度はイグアナが見つかった」というニュースを見て、横浜市に引っ越したいキングコング西野です。
さて。
今日は『想われ続ける仕組み作りの重要性』というテーマでお話ししたいと思います。
可処分所得、可処分時間、可処分精神…の次の次元の話です。
クリエイターさんや、サービス提供さんの活動の参考になると嬉しいです。
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▼ あらためて「フロービジネス」と「ストックビジネス」について
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明日から韓国で『映画 えんとつ町のプペル』の公開がスタートします。
※韓国語版の主題歌→https://youtu.be/NkS96zgSySw
と同時に、明日また新しいニュースがリリースされます。
海外展開に関するニュースです。
コロナがなければ2021年は海外を飛び回る年になっていたわけですが、嘆いたところで後の祭り。
このタイミングで国内に縛られている意味を探しているのですが、エンタメの神様(アホの坂田)からは「チヤホヤされてねぇで、作れ」と言われているような気がしています。
さて。
経営者の方も多いこのサロンでこんな話は釈迦に説法ですが、「僕の母ちゃんが面白く読める」がモットーのサロンでもありますので、あらためて説明させていただきますが、ビジネスには「フロービジネス」と「ストックビジネス」があります。
「フロービジネス」とは、都度都度の取引で収入を上げているビジネスのことです。
「コンビニ」とか、「居酒屋」とか。
比較的すぐに利益は作れますが、お客さんと契約関係を結ぶわけではないので、継続的な利益は得られません。
一方「ストックビジネス」とは、会員を獲得することで継続的な利益を得るビジネスのことです。
「塾」とか「電気・ガス」といったアレです。「不動産賃貸業」もそうですね。
会員を獲得すれば収益は安定しますが、会員を獲得させるまでが大変です。
西野調べによると99%のオンラインサロンは、ここに至るまでに爆死しています。
ストックビジネス」とは言ったものの、獲得した会員が退会することもあるわけで、「会員を獲得すれば一生安泰」というものではありません。
なので、「ゼロor100」の議論ではなくて、「フロービジネス寄り」「ストックビジネス寄り」といった感じで、グラデーションで捉えた方がいいのかなぁと思っています。
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▼ 「作品」はストックビジネス寄り
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ところで、映画や漫画や絵本といった「作品」は、「フロービジネス」でしょうか?
それとも「ストックビジネス」でしょうか?
たとえば、漫画『ONE PIECE』の場合だと、新刊が出る都度買っていて、契約しているわけではないので一見すると「フロービジネス」ですが、
その際、「情報(ストーリー」を取得すると同時に、作品の「ファン」になっています。
少し複雑な話になりますが…、可処分精神(※サービスを利用していないのにも関わらず、そのサービスのことを想っている時間)の幾らかを『ONE PIECE』に支払い続けているわけですから、そう考えると作品は「ストックビジネス寄り」だと言えます。
事実、『ONE PIECE』のグッズが出たら買ってしまう理由は、「ONE PIECEのことを想っている時間」があったからで、たしかに「グッズ」で売上を作ってはいるのですが、ファンじゃなかったらグッズは買いません。
…チョットややこしいですよね(汗)。
ウォーターサーバー」のビジネスモデルをイメージしていただけると分かりやすいかもしれません。
サーバー(本体)自体は無料レンタルなので、そこでは売り上げは作れませんが、
そのサーバーに合う「ボトル(水)」は有料ですし、そのサーバーのメンテナンスも有料だったりします。
これで伝わったと思うのですが、サーバーが「ファン」で、ボトルやメンテナンスが「グッズ」です。
なので、ファンを生む作品というのは“書面で契約こそ結んでいないものの”「ストックビジネスより」なんですね。
ただ、
作品は「ストックビジネスより」であって、「ストックビジネス」ではありません。
サービス内容が見合わなければ解約があるように、当然、「ファン」にも解約があります。
タチが悪いことに「ファン」の場合は“書面で契約を結んでいない”ので、「今日から解約します」ということはなく、ジワジワとフェードアウトする形で解約していきます。
ここが最大の落とし穴で(20代前半の西野はココで躓いた)、「ストックビジネス感覚で活動していたら、気がついたら、フロービジネスになっちゃってた」という事故に遭ってしまう。
売れて、テレビにたくさん出演できて、仕事も収入も増えたけど、気がついたらファンがいなくなっていたので、「出演し続ける」しか生きる道が残されていない……みたいな。
書面で契約を結んでいるストックビジネスでは「気がついたらフロービジネスになっちゃってた」はありえないのですが、「ファン」という“精神的な契約関係”だと、こういうことが起きてしまう。
なので、作品の作り手は、作品を作るのと同時に、作品を届けるのと同時に、「作品を想われ続ける仕組み」を作らねばなりません。
人々の発信が増えれば増えるほど、可処分精神争奪戦は激化し、作品の「フロービジネス化」が加速するので、「想われ続ける仕組み作り」は必須です。
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▼ キーワードは「想われ続ける仕組み」
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インフルエンサーとして活動している方にも同じことが言えると思います。
情報発信している時以外も、お客様から想っていただくことが大切で、想ってもらう競争が激化するので、作品と同じように「想われ続ける仕組み作り」がカギとなってくる。
とにもかくにも「仕組み」なんです。
ちなみに「厄除けのお札を置く場所」の決まりってご存知ですか?
答えは……
「頭より高い場所」
「人通りの少ない場所」
「清潔な場所」
です。
家が二階建てならば、一階はN Gです。家主が二階に上がった時に、お札の位置が家主の頭よりも下になるからです。
神棚をわざわざ買わないとしたら、そんな条件を満たす場所なんて「寝室」ぐらいしかないじゃないですか?
「寝室」は毎日行く場所であり、1日で、もっとも長い時間を過ごす場所です。
普通に生活していれば、自動的に目に入ってきて、想うように仕組み化されています。
絵本『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』が、発売日よりも少し先行して届き始めているそうです。
すでに読まれた方はお気づきかもしれません。
西野が、『年末の音楽フェス』と『夏』をハックして、毎年、作品のことを想ってもらう仕組みを作品内に練り込んでいることを。
ここだけの話ですが(ナイショだよ)、あわよくば「ボルダリング」もハックしようと思っています。
ボルダリング施設とコラボできれば、想ってもらえる時間が増えるかなぁ」と考える黒西野です。
ここだけ切り取ると黒い話ですが、こういった感じで作品内に「想われ続ける仕組み」を練り込んでおかないと、作品はストックビジネスとしての寿命を迎えてしまうんです。
日本映画界だと2019年が興業収入歴代トップなのですが、2019年に公開されたヒット映画を何本言えます?
今日は「想われ続ける仕組みを作ることが大事だよねぇ〜」という話をさせていただきました。
現場からは以上で〜す。