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2021年06月16日のエンタメ研究所の過去記事

6月16日(水)※6月18日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
Facebookの広告で流れてくる「大量のゾンビが襲ってくるゲーム」の大量のゾンビの中に混じっている「巨大なモンスター」がどういう建て付けになっているか気になって眠れないキングコング西野です。
さて。
今日は『いよいよ始まったオフサービス戦争』というテーマでお話ししたいと思います。
興奮する話です。
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▼ 衝撃のニュース
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おそらく多くの方が「へぇ〜」「ふ〜ん」「いろいろ、やらはるなぁ〜」と流しちゃうニュースだとは思うのですが……昨日、僕の中ではここ数年間で最もインパクトの大きい“あるニュース”が流れました。
それは…
「『Netflix』が、『ビームス』とコラボをして、Tシャツやキャップなどの“自社ブランド製品”を作り、オンライラインショップや、ビームスの一部店頭での販売を開始した」
というもの。
このニュースから何が読みとれるでしょうか?
まさか、Netflixが(グッズ販売による)お小遣いを稼ぎにきているわけじゃありません。
Netflixが「ファン」を作りにきているんです。
芸人やアーティストのファンではなく、
球団のファンでもない、
「プラットフォームのファン」です。
これが、どれだけヤバイことなのか知る為に、まずは、「そもそも僕ら(消費者)がサービスを選ぶ際の理由」を整理しておいた方が良さそうです。
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▼ 僕らがサービスを選ぶ理由
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僕らが、数多あるサービスの中から、そのサービスを選ぶ理由は次のどちらかです。
① 便利だから
② 好きだから
「便利だから」で選ぶ場合、僕らは「一番便利なサービス」を選びます。
二番目に便利なサービスを選ぶことはありません。
「L I N Eの次に使い勝手の良い“L I N Eのようなサービス”」を選ぶことはありませんし、「3番目に切りやすいハサミ」を選ぶことはありません。
もう一度言いますが、
「便利さ」を軸に商品・サービスを選ぶ時は、「一番便利な商品・サービス」を選びます。
今、世界で幅を利かせている巨人は、大体「一番便利」を押さえています。
GoogleAmazonFacebookも…とにかく便利です。
こういった「便利」を極めた巨人達にどう対抗していくか?…というのが、多くのサービス提供者の宿題です。
数の論理(資金力)で押し切られてしまう以上、「便利さ(使い勝手の良さ&安さ)」では絶対に勝てないので、「『好きだから』をいかに作るか?」が重要になってきます。
日本だと、「コミュニティー」というものをイジっちゃうノリあるじゃないですか?
「宗教ですかww?」みたいな。
ちょっと怖い話になっちゃいますが、サービス提供者がアレをやっちゃったら、もう未来はありません。
「世界で一番使い勝手の良い商品」や「世界で一番安いサービス」を作れるというのであれば話は別ですが……そんなものを個人で作るのはチョット難しい。
作れたとしても、翌日には大企業にパクられてゲームオーバーです。
サロンメンバーさんが、サロンメンバーさんの店を選ぶ理由は、もちろんサービス内容に満足しているからでありますが、くれぐれも「一番安いから」「一番近いから」ではありません。
サロンメンバーさんが、サロンメンバーさんの店を選ぶ理由は、「同じ趣味を持っているから」とか、「サロンがキッカケで知り合って、『人』として応援したくなったから」といったところでしょう。
【サロンメンバーさんのお店↓】
便利さ(安さ)で攻め込んでくる巨人に対抗するには、こういった「人としての繋がり」しかありません。
簡単な言葉で言うと「ファンになってもらうしかないよね」といったところ。
その書店の店主が愛されていれば(応援に足る人物であれば)、新刊の入荷が遅かろうが、品揃えが悪かろうが、値段が少し高かろうが、Amazonがいる時代でも店を残すことができます。
店の商品(書籍)が全て、店主を応援する為の「ファングッズ」になるからです。
「自社商品・自社サービスをいかにファングッズ化するか?」が弱者の戦い方の基本です。
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▼ アキレス腱を強化し始めた巨人
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可処分時間(自由に使える時間)の王者たる大企業の多くは、「オフサービス(サービスとして利用されていないる時間)を奪えていない」という弱点を抱えています。
僕らは、Facebookを使っていない時間帯に、「Facebookちゃん、今頃、何してるかなぁ〜?」と考えることはありません。
一方で、 CHIMNEY COFFEEの店内にいるわけでも、家で「カフェオレベース」を飲んでいるわけでもないのに、「べえ君( CHIMNEY COFFEE)しっかりやってるかなぁ?」と考えることはあります。
キチンとファンを作り、オフサービスを押さえている。
SHOWROOMの前田さん的な言い方をすると「可処分精神を押さえている」です。
よし子(ウチの母ちゃん)的な言い方をすると「想われている時間がある」です。
ここが「巨人のアキレス腱」であり、弱者はここを狙うしかなかったのですが…………
この度のNetflixは、ここを押さえに来たんです。
世界で一番便利なプラットフォームが、「ファン作り」に乗り出して、オフサービス(サービスとして利用されていない時間)を押さえに来たんです。
NetflixのTシャツを買った人は、Netflixを観ていない時間も、Netflixのことを考えることになります。
鏡に映ったTシャツを見て、「来週は、どんな新作が出るのかなぁ?」と想うわけですね。
可処分時間(便利)の王者が、可処分精神(好き)まで取りに来ちゃっているわけですね。
これと同じことをやっている代表的な企業が『Apple』です。
あとは『ラーメン二郎』(笑)
可処分胃袋の王者が、可処分精神まで奪ったパターンです。
Netflixがどこまでオフサービスを取れるのかは分かりませんが、「塀の中に巨人が入ってきた」と考えておいた方がいいと思います。
「『進撃の巨人』で喩えるのなら、弱点は『アキレス健』ではなくて『うなじ』と表現した方が良かったなぁ〜」という若干の後悔はありますが(※一筆書きなので書き直しません)、こんな日が来ることは1億2000年前から折り込み済みなので、望むところです😀
「コミュニティー」だけは作っておいた方がいいと思います。
現場からは以上で〜す。
 
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