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2021年07月29日のエンタメ研究所の過去記事

7月29日(木) ※7月31日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
「仕事ができないヤツは無駄な飲み会をする」「ダサいヤツは『黒い服を着てりゃいい』と思っている」という指摘に、ことごとく当てはまっているキングコング西野です。
さて。
今日は昨日に引き続き『アイデアとお金』の【後編】をお届けしたいと思います。
昨日の記事をまだ読まれていない方は、先にそちらをお読みください。
今日は、そう遠くない未来に確実にやってくる『グランドクエスチョン(大きな問題)』についてお話ししようと思うのですが…僕自身、その問題の解き方をまだ見つけられていません。
ただ「2年後に確実に津波がやってくるから、どう逃げようかしら?」という問題の共有を今ここでしておきたいと思います。
安心してください。
スピ系の話ではございません(笑)
経済の話です。
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▼ 広がる格差
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ジニ係数(国民の所得の均等度合を示す指標)』というワードで検索していただけると、秒で出てきますが、今、日本はグイグイと格差が広がっています。
裕福な人はより裕福になり、貧しい人がより貧しくなる世界線です。
これには、いろいろな要因があります。
少子高齢化」もその一つでしょう。
労働人口が減れば、労働者一人が背負わなければいけない社会保障費は、その分、大きくなります。
あと、子供が減って寿命が伸びると、年金暮らしの人(※「低所得者」に分類されます)の割合が増えるわけですから、その分、低所得者が増えます。
くわえて、『同一労働同一賃金』が叫ばれています。
「同じ仕事をする人間には、年齢や立場関係なく、同じ給料を払おうぜ!」という運動です。
給料を上げるようと思ったら、まわりの人達とは違う仕事(まわりの人達ができないような超仕事)をしなければなりません。
年功序列」とは真逆のゲームなので、【やる気がある若手】からすると、こんなに願ったり叶ったりの状況はなく、ある意味、“努力に対して平等”なのですが(※アメリカっぽい!)、チャンスがあればあるほど、チャンスをモノにできる強者と、チャンスをモノにできない弱者との格差は広がります。
さて。
格差がグイグイ広がっているのは日本だけかというと、勿論、そんなことはなくて、「格差問題」はブイブイやっちゃってる国の共通の課題としてあります。
ただ、文化(仕組み)として、「格差を少しでも和らげよう」という試みはいろんな国でおこなわれていて、そのうちの一つが『寄付』です。
御存知だとは思いますが、欧米だと、セレブ達が、出身校や医療機関や社会問題の解決に積極的に寄付をします。
もちろんピュアな気持ちもあるでしょうし、一方で、下心もあるでしょう。
つまり、「お金持ちが次に手に入れたいのは『お金』ではなくて『名声』」という事実です。
以前、ビートたけしサンが「寄付をしたことを公表するタレント」に対して、「寄付はコッソリとするものだろう!」とツッコまれていたのですが、僕はその意見には疑問を持っていて、ゴールは「弱い人を助けること」なので、『助ける(寄付をする)取り分』は作れば作るほどイイと思っています。
欧米だと、たくさん税金を納めた人や、たくさん寄付をした人がヒーローになり、名声を得られるので、救いの手がたくさん集まります。
格差が広がる中の希望となっています。
ところが…
日本人は、税金をたくさん納めた人間が叩き、寄付をした人間を叩いてしまいます。
当然、
「日本に税金を納めるのはやめておこう」
「日本人に寄付をするのはやめておこう」と考える人は出てきます。
つまり、「日本の貧困層が日本の格差を広げている」という話です。
「税金の流れ」を教えない学校教育や、親にも大きな問題があるでしょう。
下手すりゃ、親も一緒になって、高額納税者を叩いている場合がある。
合理的に考えるのであれば、高額納税者や、寄付をする人は、“おだてた方”が絶対にイイんです。
高額納税者や寄付をする人をヒーローにすることが、富の再分配になる」ということを、本当は、小学生のうちから知っておかなくちゃいけません。
んでもって、今日の話はコレじゃないんです。
ここまでは、基礎知識。
まだ、本題は始まっていません(笑)
ここから西野のエンジンがかかります。
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▼ 「意味」がもたらす大きな格差
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避けては通れない問題が、すぐそこまで来ています。
詳しくは尾原さんに聞いてください。
嘘です。
ちゃんと(前段から)説明します。
去年(一昨年?)のビジネスのトレンドは独立研究家の山口周さんが唱えた『役に立つ』と『意味がある』でした。
「役に立つ商品やサービスは、ぶっちゃけ『一番役に立つもの』だけでいいし(※二番目に役に立つ商品なんて買わない)、それにしたって、みーんなクオリティーが上がっちゃったから、ドングリの背比べだよね」という話から始まり、『車の値段』で、今の時代を綺麗に説明してくださいました。
縦軸に『役に立つ』(上に行けば行くほど『役に立つ』)を敷いて、横軸に『意味がある』(右に行けば行くほど『意味がある』)を敷いた時に…
①日本車は「左上(役に立つけど…)」になり、
②ベンツは「右上(役に立つし、意味がある)」になり、
スーパーカーは「右下(意味しかない)」になります。
ガルウィング(縦にドアが開く)や、「最高時速ウン百㎞」なんて、国道でまるで役に立たないんですね(笑)
ただ、それぞれの車の値段はどうか?というと…
高い順番から③②①です。
メチャクチャ役に立つ日本車が一番安い。
ここに、「技術(役に立つ)のコモディティー化(数が増えすぎて価値を失う)が起きてるよね」という話です。
そんなこんなで、どうやら僕らの世代は『意味』の獲得に目を向けなくちゃいけないのですが、ここで大きな問題が立ちはだかります。
それは…「『意味がある』の世界は、『役に立つ』以上の格差が生まれる」ということです。
「おむすび」の値段は、もはやあまり変わらないのですが、「絵」の値段は、二桁三桁、平気で変わります。
先日のサロン記事で「五輪の開会式の絵に何故あれだけの値がついたか?」という話をさせていただいたのですが、その答えは『意味』でした。
画力が急激に上がったわけでも、高い画材を使用したわけでもありません。
「あの時間(物語)を共有した」という意味に、大きな値がつきました。
まもなく僕らが迎えるのは、『意味』を作れる人がより強くなり、『意味』を作れない人がより弱くなる世界です。
そして、この格差というのは『役に立つ』を売っていた頃よりも大きくなる。
さて、どうするか?
グランドクエスチョンっ!
昨日、尾原さんに相談したところ、「西野さんが、Chimne Coffeeや、ミュージカルを丸ごとあげたみたいに『意味の寄付』は一つあるかもしれないですね」と返ってきました。
なるほど。
たしかに、僕が作り上げた『意味』を丸々あげちゃえば、そこで食っていける人が増えるし、僕もその活動を見てニマニマできる。
個人的には、少し乱暴ですが「累進課税を激しくしてくれ!」と思うのですが、日本人が今のマインド(高額納税者を叩く)だと、高額納税者累進課税を進めることを良しとしないし、日本を離れるでしょう。
…熱くなっちゃった。ごめんなさい。
僕は今、『elu』で絵を売っているのですが、そこの売り上げというのは、その大半が『意味』で得たお金なんですね。
表では「ごちそうさまでーす。ハイボール代に使いまーす」と言っていますが、できれば、社会に、面白い未来の創造に全角還元したいです。
ただ、何も考えずに寄付をしてしまうと、また一部の日本人がそれを叩いてしまう。
その様子を見せてしまうと「『意味』で得た富の再分配をしよう」とする人が減っちゃうんです。
「寄付をして叩かれるのなら、寄付はやめておこう」と。
ただ、ここの再分配のモデルを開発&提示しないと、『意味』を持たない人(持てない人)が、苦しくなるのは明らかで、
一刻も早く、この問題を解かなきゃいけないなぁと思って、『意味の時代』の現在地を共有させていただきました。
強い人も弱い人も一緒になって前に進める世界の方が面白そうなので、なんとかします。
現場からは以上でーす。
 
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