西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年11月26日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。
最近、目上の人に、ついついタメグチで喋ってしまうキングコング西野こと「ハーフタレント」です。
#尊敬しているし
#メチャクチャ大好きなのに
#タメグチになっちゃう

 

新しいモノを作るニッポン
 
さて。
今日は『世界と戦えない日本人の道徳観』というテーマでお話ししたいと思います。

日本の建築とヨーロッパ(から影響された諸外国)の建築を比べた時に、やっぱり一番最初に目につくのは『素材』だと思います。

日本は『木』で、ヨーロッパは『石』です。

違いが生まれた理由は調べれば調べるほど、諸説ありすぎて(地震とか台風とか暑さとか寒さとか宗教などなど)、どれが本当か分からないのですが、たぶん、どれもチョットずつ関係していると思います。

次に住宅の「使い方」の違いについて、お話しします。

日本は、やっぱり建て替えマンセーの国で、基本的には『新築』が最も資産価値が高いですが、多くの国の住宅は「手入れをしながら、長く使っていく」を是としていて、『新築』よりも『築50年』の住宅の方が高かったりします。

「50年持ったということは、100年持つんじゃないの?」といった感じで、経過した時間が信用になる考え方です。

このへんの考え方が日本人と諸外国の道徳観の基礎になっているような気はしていて、日本ってやっぱり「新しいもの(新ネタ)」が正義なんですね。

僕の友人には、舞台を作っている友人がたくさんいるのですが、彼らが(あくまで国内で)評価される時って、新ネタを発表した時なんです。

ファンは「次は、どんなネタで楽しませてくれるんだろう?」と目をランランさせます。

ただ、(こと舞台業界においては)新ネタを発表し続けた先に待っている展開としては、「同じファンに届け続けて、そこから拡がっていかない」です。

新ネタを作ることと、新規ファンの獲得が繋がっていないんですね。

一方、ブロードウェイの舞台の作り方は、どんな感じになっているかというと……

「最近話題の作品」みたいな感じで出てきた舞台をよくよく調べてみると、もう何年も前からプレ公演的なものを重ねて重ねて、少しずつ少しずつアップデートを繰り返していたりします。

「新作ヅラ」していますが、全然新作じゃないんです(笑)

皆さんが聞いたことがあるような有名作品でも、いまだにアップデートが繰り返されていて、「エンタメが増えて、お客さんの時間の価値が高くなっちゃっている中、さすがに2時間半の舞台はつらいよね。よし!30分ぐらい短くしよう!」みたいな大工事がおこなわれています。

日本でこれをやると、「いつまで、同じネタをしがんでいるんだ」という批判が起きます。

その結果、アップデートをしない日本作品と、アップデートを繰り返す海外作品とで、クオリティーの差が生まれ、これがまた、オンラインで「同じ棚」に並べられたりするもんだから、新規ファンは海外作品に流れます。

いろんな国のエンタメを観る度に『新作』の弱さを痛感します。
クオリティー面でもそうですし、「作品のコミュニティーが存在していない」という問題もある。

エンタメに限らず、(コミュニティーを絡めていない)あらゆるサービスにおいて、僕らはすでに世界戦(クオリティーの殴り合い)の棚に並べられているので、「新作マンセー」の道徳観だと、かなりヤバイので、「アップデート(継ぎ足し)前提」でサービスを組み立てていった方がイイと思いまーす。

現場からは以上でーす。

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