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2021年02月22日のエンタメ研究所の過去記事

2月22日(月) ※2月24日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
串で突き刺すことで崩れを押さえている背の高いハンバーガーの食べ方がよく分からないキングコング西野です。
さて。
今日は『ミュージカルスタッフへの業務連絡』をお届けしたいと思います。
(株)CHIMNEY TOWNや、ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』のスタッフに向けた内々の内容ではありますが、どうにか、参考にできるところを探しだして、参考にしてみてください。
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▼ ミュージカルの問題点を整理してみよう!
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どこから手をつければ良いのか分からないので、まずは、「ミュージカルの問題点」を整理してみましょう。
現状、(一般的な)ミュージカルのマネタイズは以下の3つ。
① 「チケット」
② 「企業スポンサー」
③ 「グッズ」
…基本的にはこの3つだと思います。
僕は「成功する方法を探る」というよりも「失敗する可能性を潰す」というやり方をする人間なので、気になるところからメスを入れていきます。
まず、
「企業スポンサーが見つからないと回らない」というビジネスモデルは、常に首元に鎌を当てられている状態なので、やめておいたほうがイイと思います。
「スポンサーが突然降りる」は可能性として全然あります。
基本的には、“お客様からいただいたお金だけで成立するビジネスモデル”を作っておいて、「企業スポンサー」は〝臨時ボーナス〟として捉えておいた方がイイと思います。
なので、企業スポンサーは「無いもの」として考えておきましょう。
その上で!
今、世の中にある多くの舞台は「チケット」と「グッズ」の売り上げだけでは満足にマネタイズできていないから、「チケット代が高くなる」「役者やスタッフが薄給になる」という問題が起きています。
なので、僕らのチームは、こことキチンと向き合って、キチンとクリアしましょう。
さて。
現状、多くのミュージカル(および舞台)は、言葉を包まずに言うと「利益が足りてない」ということだと思うんですね。
だから、その対策として「チケット単価を上げる」ということと、「人件費を下げる」という手を打っている。
それらの打ち手の、それぞれのデメリットを割り出すと……
チケット単価を上げる
→「大衆化しない」
人件費を下げる
→「クルーの生活に負担をかける」
→「才能が集まってこない」
……と、なにかと問題があります。。
どちらの打ち手もあまり健康的じゃないので、どうやら他の方法で「利益」を作った方が良さそうです。
僕は、ミュージカルに限らず、どんなサービスであろうと、「追加で利益を作る方法」は二つあると思っています。
それがこちら…
・キャッシュポイント(収益を生む機会)を増やす。
・意味変をする(売る相手を変える)。
どうやら、僕らがやらなくちゃいけないのはココなので、順に説明しますね。
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▼ キャッシュポイントを増やす ~プロセスの売り方を整理しよう~
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まず、「キャッシュポイントを増やす」は、僕らのミュージカルの場合だと、「メイキングの販売」があります。
少し踏み込んだ話になりますが、
ミュージカルの【上演期間】は11月14日〜28日のせいぜい「2週間」です。
それに対して、
今日からミュージカルの初日まで【メイキング期間】は「8ヶ月半」。
シンプルに考えて、「メイキング」の方が販売期間が長いです。
どれだけダラダラ売っても、普通に頭を使えば、「チケットの売り上げ」よりは「メイキングの売り上げ」の方が大きくなるよね。
メイキング販売は「下見を覗き見できる権」「稽古風景の配信を観れる権」「台本」以外にも色々とありそうです。
稽古場のレンタル費用が一日5万円とかなら、稽古場の一日(個人)スポンサーなんかも、あるかもしれません。
「今日の稽古場は○○さんからの提供です」といった。
こちらはリターンとして○○さんに、役者(もしくは西野から)御礼のビデオメッセージを贈る。
『制作費1億円』と聞くと卒倒しそうですが、そういった感じで、必要経費を細かく区切って、マネタイズしていくと、一つ一つの課題(クリアしなきゃいけないハードル)が「5万円」とか「3万円」とかになってくるので、マネタイズの打ち手が見えてくると思います。
その積み重ねで、キチンとやれば、公開初日までには制作費のほとんどを回収できると思うので、知恵を絞ってみてください。
※必要経費を区切ってマネタイズすることをしない人(今回の場合だと一気に1億円を回収しようとする人)は、だいたい「一発逆転の施策」に出ますが、ここ(資金繰り)は博打をする場面じゃないので、そんなことはやっちゃダメよダメダメ。
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▼ 意味変 ~「売るお客さん」を変えよう~
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ミュージカル(舞台)の主な収益源として『グッズ』があります。
ここでは、「どんなグッズを開発して、どう売ればいいのか?」という話をします。
そもそも『グッズ』がどの場面で売れるかというと、「イベント当日」です。
そして、よく見られる『グッズ』として、『出演者の写真がズラリと並んだパンフレット』などがあります。
イケメン俳優が出ている舞台では、『俳優の写真がプリントされたキーホルダー』があったりしますね。
これらを買っているのは誰かと言うと、『俳優のファンで、イベント当日に参加している人』です。
ここが、舞台のグッズのターゲット層になっているわけですね。
ただ……
普通に考えて、世界のほとんどの人が『俳優のファンではなくて、イベント当日に参加していない人』です。
そっちの方が市場が大きいんですね。
ちなみに、
アパレルブランドで時価総額世界一になったユニクロのターゲット層は「ファッションに興味がない人」です。
世界的に見たら、「ファッションに興味がない人」の方が多いのだから、アパレルブランドとしては、そちらを狙った方が得策です。
ミュージカル(舞台)も同じで、「ミュージカルに興味がない人」「俳優に興味がない人」「イベントに参加しない人」の方が多いのだから、ミュージカルのグッズは、そっちの人達に向けて作った方がいいと思います。
そして、一年中、オンラインショップで売り続ける。
そうなってくると、グッズのデザインの中に俳優を入れ込むのは絶対NGです。
俳優を入れ込まないことによって、イベント当日のグッズ(※熱狂的なファンから)の売り上げが落ちようとも、トータルで見たら、365日売れ続けるグッズを作った方がプラスです。
つまり、
ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』の独自ブランドを作った方がいいと思います。
たぶん、今回は「ダーク感」があった方がよくて……イラストレーターの松並良仁(マツボックリン)さんとかにグッズのイラストをお願いするといいかもしれません。
グッズを「ダーク」で統一しておくと、僕なら「ファミリー」な『CHIMNEY TOWN』のグッズと両方欲しくなっちゃう。
『手帳』や『ティッシュ』などの消耗品(生活用品)の定番商品を生み出すことに成功すれば、ミュージカル『Poupelle of Chimney Town』の運営は安定するでしょう。
とりあえず、グッズのターゲットを「コアファン以外」に設定して、売れ続けるグッズを開発&販売してみてください。
頑張ってねー。
そんなこんなで、僕は脚本執筆に戻ります。
あとは、宜しくです。
現場からは以上でーす。
 
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