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2021年07月13日のエンタメ研究所の過去記事

7月13日(火) ※7月15日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
Voicyのオープニングトークが楽しくなってきてしまって、少しでも気を抜くと本編よりも長くなりそうなキングコング西野です。
さて。
今日は『二重の極み 〜二階建てでロングセラーを狙え〜』というテーマでお話ししたいと思います。
マーケティングの話です。
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▼ 短期的にバズったところで仕方がない
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アメリカ・ラスベガスに来ています。
昨日は、ラスベガスでパフォーマーとして活躍されているサロンメンバーの吉川泰昭さんのショーを観に行って来ました。
一緒に観に行ってくださったのは、同じくサロンメンバーの島さん。
持つべきものは「サロンメンバー」です。いやはや感謝。
素晴らしいショーに感動したのも束の間、終演後にはバックヤードを案内してくださり、コロナ禍のいろんな話を聞かせていただきました。
ラスベガスのショーの裏側は華やかさとは程遠く、実に泥臭いもので、この地この時代で頑張るお二人には尊敬しかありませんでした。
素晴らしい作品を見た後の仕事ほど“はかどる”ものはありません。
昨夜は、ミュージカル『えんとつ町のプペル』の演出プランをウネウネと練っていたのですが、おかげ様で随分と前に進みました。
ラスベガス滞在中に、お食事にでも行けるといいな。
さて。
ラスベガスに来てからは、毎晩いろんなショーを観ています。
そこで、まざまざと思い知らされるのは(これはブロードウェイでも同じですが)「人気があるショーほど、歴史が古い」ということです。
今回、なかなかチケットが取れなかったシルク・ド・ソレイユの「O(オー)」は、20年以上、毎日(コロナなどの例外を除く)公演が行われています。
「歴史が古い」と言えば聞こえはいいですが、悪意を持って切り取るならば「いつまで、同じネタを使い回してるんだよ」です。
この仕事に就いていると「新ネタを発表する」が高く評価され、「同じネタを使い回す」はあまり評価されません。
ただ、問題は、「それは誰からの評価か?」という部分で、答えは「業界人」であり、「コアファン」です。
彼らは「同じネタ」を低く見積もり、「新ネタ」を求めがちですが(全員じゃないよ)、どっこい、
赤ちゃんは毎年生まれ続けて、お客さんは毎年入れ替わります。
あらゆる「新作」を見ていると、「新作の為に作られた新作」と「ロングセラーの為に作られた新作」の違いに気がつきます。
それは「新作を作ってバズらせるぞ!」と、「10年後に使えなくなるコンテンツなんてそもそも作らない。時間の無駄だ」の違いで、そこには天と地ほどの差があります。
身も蓋もないことを言っちゃうと、後者はメチャクチャ合理的です。
数年前(8年前ぐらい?)に誕生して「体験型シアター」として話題になったミュージカル(?)『SLEEP NO MORE』は、シェイクスピア(とヒッチコック)の物語をベースにしているので、古くなりようがありません。
そもそも、数十年間運営していく前提で作られているのです。
実際、『SLEEP NO MORE』も、まもなく10年。
一つ言えるは、「新作の為に作られた新作がロングセラーになることは(あまり)ない」ということですね。
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▼ 一生続ける為の打ち手
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「いつまで『えんとつ町のプペル』をやってるの?」とアンチ風味で質問された時に返す言葉は決めています。
「一生やってる」
それは“マグレ”で成せるものではありません。
綿密に計算された仕掛けがそこには必要です。
今朝、『映画 えんとつ町のプペル』のドライブ・イン・シアター(@イオンシネマ)の「追加上映」が発表されました。
以下の通りです↓
・7/16(金) イオンモール四條畷 19:30~
・7/22(木) イオンノア 19:15~
・7/24(土) イオンノア 19:15~
・7/24(土) イオン大井 19:15~
・7/30(金) イオンノア 19:15~
・7/31(土) イオンモール佐賀大和 19:45~
・8/1(日)  イオンノア 19:15~
ところで、皆様、覚えていますでしょうか?
絶対に絶対にナイショの話なのですが、『映画 えんとつ町のプペル』は今年のハロウィンに再上映します。
そして、ゆくゆくは「ハロウィンだから、プペルを観に行こう」という季節イベント(国民行事)にまで持ち込むのが僕の狙いです。
その為に僕は、「再上映前の枯渇感」が必要だと考えていました。
つまり、
「『映画 えんとつ町のプペル』を久しぶりに観たいけど、もう、どこでも上映をやっていないから、観れない」
という人をいかに作るか?が大事だと思っていたんです。
なので、ドライブ・イン・シアターの上映は、6月いっぱいで終わらせる方向で進めていたんです。
ところが!!
これは、僕の大きな読み違いでした。
自分自身でドライブ・イン・シアターを体験して、その帰り道に、「今度は映画館でちゃんと観たい」と思ったんです。
ドライブ・イン・シアターは確かに楽しかったんです。
これは嘘ではありません。
まったく新しい体験で(上映中にスマホもイジれる)、胸を張ってオススメできます。
ただ、「音や映像がイイか?」と訊かれれば、そりゃ、映画館の方がイイわけで、そのおかげで、「今度は、映画館で(生で)観たい」と思いました。
実際、ドライブ・イン・シアターを体験された方で、僕と同じような感想を持たれた方は多いのではないでしょうか?
勘の良い方は、もう僕の言いたいこと(下心)がお分かりだと思うのですが、
「より多くの方にドライブ・イン・シアターを観ていただいた方が、年に一度(ハロウィン時期)の映画館上映の観客動員数が増える」
という仮説です。
ならば、「ドライブ・イン・シアターは一年中(全国のどこかで)やって、映画館で上映するのはハロウィン」という二階建てで打ち出した方が良さそうです。
今はまだ、「映画館で『えんとつ町のプペル』を知って、ドライブ・イン・シアターに足を運んでいる人」がほとんどですが、ゆくゆくは、「ドライブ・イン・シアターで『映画 えんとつ町のプペル』を知って、映画館に足を運ぶ人」が出てくる可能性がある。
YouTubeで知ったアーティストの生のライブに行ってみる」みたいな感じです。
これは、まだ仮説で、試してみなくちゃ分かりません。
ということで、東宝さんに「ハロウィン時期ギリギリまで、ドライブ・イン・シアターをやっちゃってもイイですか?」とお願いしたところ、オッケーが出たので、今回の【追加上映】が決まりました。
おかげで『映画 えんとつ町のプペル』がこのたび「夏休み映画」になりました。
バズらせることにゃ興味はありません。
狙うは「ロングセラー」です。
さて、この打ち手がハマるかどうか?
見届けてください。
現場からは以上で〜す。
 
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