西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2021年06月11日のエンタメ研究所の過去記事

6月11日(金) ※6月13日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
飲酒運転で捕まって、「コロナワクチンを接種したので大丈夫だと思った」とコメントしていたジジイを見て、
薬物をパンツの中に隠して捕まって、「もうパンツは履きません」とコメントした勝新太郎先生を思い出したキングコング西野です。
さて。
今日は「キンコン西野のお仕事現場をお見せします」というテーマで、僕の仕事現場の様子を少しだけチラ見せしたいと思います。
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▼ お前は足りてねぇんだ、何もかも
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表現者やクリエイターの卵から相談を受けることが少なくありません。
内容は皆さんお察しのとおりで、「僕の作品は、どうやったら売れますか?」
昔、秋元康さんから「西野君は一生過小評価され続けるよ」と言われました。
マキタスポーツさんからも「西野が生きているうちは、西野が国内で正しい評価をされることはないよ」とも。
「作品を届けること」にも精を出した人間が背負う呪いのようなもので、きっと、僕に相談を持ちかけてくる表現者やクリエイターの卵は、「西野亮廣は売ることが得意な人間」だと思っているのでしょう。
たぶん、僕は「売ること」も得意な方だと思います。
シンプルに、人類で僕が一番「サイン本」を作って、梱包して、配送しています。
報われるかどうかはさておき、地球で一番努力することなんて簡単です。
そこに「時の運」などなく、地球で一番努力すればいいだけなので。
全て自分で決められることです。
ただ、多くの表現者やクリエイターは「届ける努力を誰よりもやる」と選ばないので、少し努力するだけで、差が生まれます。
結局、それが「売ることが得意な人」というイメージに繋がるわけですが……売っているものが「ウンコ」だと、売れば売るほど人が離れていきます。
ここを忘れてはいけません。
どこまでいっても大事なのは「作品」であり、「パフォーマンス」です。
文章を書けば、毎日この調子で、
絵本を作れば、あの調子で、
映画を作れば、アカデミー賞やら海外の映画祭やら。
お笑いは得意ではありませんが、一応、漫才をしたら1年目で関西の漫才賞を総ナメして、
M-1グランプリも最低で決勝戦には名を連ねます。
一点。
『ゴッドタン』では我が肛門を献上しているだけなので、パフォーマンスもヘッタクレもありません。中学生の部室と同等レベルです。
しかし、まぁ、後輩には「最低でも日本一に絡むぐらいにはなっとけよ」と言っています。
世界を獲りにいくのなら、話はそれからです。
書き込んでいない人の文章は1秒で分かるし。
描き込んでいない人の絵は1秒で分かるし、
インプット量や、他者目線や、優しさや、残酷さが不足している人が作るエンタメは1秒で分かります。
「売り方」「届け方」ウンヌンの前に、シンプルにクオリティーが低い。
足りてないんです、何もかも。
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▼ 仕事現場の様子をお見せします
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僕は1日の大半をアトリエで過ごしています。
世の中との接点となっている「文章」や「音声」の発信に割いている時間は、僕の1日の仕事の18分の1ぐらいで、あとはずっと書くことや、描くことや、調べることに時間を割いています。
その間、誰とも会うことはありません。
僕のアトリエには誰も立ち入らせません。
僕が頭を掻きむしって「畜生!」と言っている姿を知っている人は極々一部で、
僕と一緒にクリエイティブの根幹の部分に立ち会っている人は極々一部。
ほとんどの人が、僕の「作っている姿」を知りません。だから、「どうやって売ればいいですかね?」と訊いてくる表現者やクリエイターさんがいるのだと思います。
ある意味、僕が勘違いさせてしまっている。
「こうすれば、ウンコでも売れる」と思わせてしまっている。
これは「作っている姿」を見せていない弊害だなぁと思ったので……このサロンでも、チョコチョコと見せていこうと思いました。
「売り方」や「届け方」などではなく、作っている現場を。
添付した動画は、11月に発表するミュージカル『えんとつ町のプペル』のオープニング。
昨日、部屋で一人で台本を書いて、部屋で一人で読み上げ、スマホで録音しました。
この音声をチームの皆に送って、
音響さんにS Eのタイミング(拍子木を鳴らすタイミング)を手拍子で指示を出して、
照明さんには照明のプランを伝えて、
主演の吉原さんと笠井さんには、
「このタイミングで言葉を差し込んで、『合計1分49秒』のセリフを1分49秒で言ってください」
と指示を出します。
映画を作るときも全く同じで、自分が作って、一度、スタッフさんの前で演じてみせます。
スタジオ4℃のアニメーターさんをスタジオに集めて、全身タイツを着た西野が「スコップ」の台詞とアクションを一度演じたんです。
一つの作品を作る時は、こういった細かい指示を何千回も出します。
表に出すようなものでもないので、サロン内限定で、「ああ、西野って、こうやって作品を作っているんだなぁ」と楽しんでいただけると幸いです。
録音環境もヘッタクレもなく、アトリエの机にスマホを置いて録ったものなので、音質は最悪ですが、雰囲気だけでも。
キングコング西野亮廣は、朝から晩まで、ずっとこんなことをしています(笑)
劇場でお待ちしております😊
現場からは以上です。
 
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2021年06月10日のエンタメ研究所の過去記事

6月10日(木) ※6月12日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
中国で話題の「北上するゾウ」が気になって気になって、西野亮廣史上最強に仕事が手につかないキングコング西野です。
さて。
今日は、『シンプルにエンタメが好きだし、エンタメぐらいしか未来がない』というテーマで、僕が今、ボンヤリと考えていることについてお話ししたいと思います。
結論などはなく、「なんとなく、今、こんなことを考えてるよ〜」の共有です。
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▼ 「お金の力」が働く戦いには参加しない
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「エンタメを海外に売る」というテーマで議論するのであれば、韓国の「C Jグループ」は外せません。
B T Sや、『パラサイト ~半地下の家族~』のボン・ジュノ監督の世界進出を後押しした企業です。
面白いのは、彼らが(元々は)エンタメとは縁もゆかりもない「食品会社」であったこと。
たしか、砂糖などを売っていた会社だったと思います。
せっせと砂糖を売っていたある日、会社の代表が「人口が少ない韓国向けにビジネスを展開しても先が無いよね〜」とか何とか言い出して(たぶんね!)、スピルバーグ監督が制作に名を連ねる『ドリームワークス』に3億ドル(約320億円)を投資。
ドリームワークスが手がける映画のアジアの配給権(日本を除く)やら、エンタメ製作のノウハウをゲットし、そこからグイグイと海外に進出していったわけです。
日本に置き換えると、「ヤマザキパン(山崎製パン)が米アカデミー賞と米ビルボードを席巻する」みたいな話です。
さて。
「3億ドルを投資」と聞くと、“神々の遊び感”がありますが、どっこい、当時のC Jグループに余裕があったわけではありません。
会社が全力で傾くほどの投資で、大きな反対もあったそう。
結果論になってしまいますが、それでもやっぱり、投資先に「エンタメ」を選んだのは圧倒的に正しかったのだろうなぁと思います。
この星で生きる以上、マネーゲーム(お金をかけた方が勝つ)は絶対的に存在して、当然、エンタメの世界でもそれはあります。
ただ、
「機能」ではなく、「好み」「感覚」が重視される【作品の世界】では、お金の力が【製品の世界】ほどモノをいうことはありません。
『映画 えんとつ町のプペル』と同時期に公開となったハリウッド作品の『ワンダーウーマン1984』の制作費は2億ドル(約220億円)で、映画プペルの30倍ほどの予算がかかっていますが、「まるで歯が立たない」という相手ではありません。
ちなみに『映画 えんとつ町のプペル』は、まもなく始まる世界最大のアニメーション映画祭「アヌシー国際アニメーション映画祭」にノミネートされていて、そこに合わせてフランスでの配給の話もまとまりそうです。
「圧倒的な才能を持ち合わせていること」が大前提ですが、しかしながら、“わずか7〜8億円(プペルの製作費)で”、世界の決勝戦に出場できることを考えると、
日本から世界にうって出る以上、「お金の力」が働かないコンテンツ(低予算でリッチコンテンツに見せられるもの)に全賭けするぐらいしかないよなぁ…と思っております。
そうなってくると、『エンタメ(アート)』や『料理』や『スポーツ』や『ファッション』…あと、いくつか。
どうやら、『役に立つコンテンツ』ではなくて、『意味がある(俺はコレが好き!という)コンテンツ』に手をつけることが、日本から世界戦に出場する際のドレスコードです。
マネーゲームに参加する時は、マネーゲームで勝ちきれる時だけ。
負ける試合には出ません。
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▼ ちゃんと世界に身体を向ける
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ありがたいことに、このサロンには、様々な国で事業を展開されている方がいて、色々と相談にのっていただいています。
先日、中国を相手に事業を展開されているサロンメンバーの近藤さんと「一緒にやりましょう」というお話をさせていただき、中国展開を正式に進めることになりました。
近藤さんがまさにその流れだったのですが、「今、ボンヤリと考えていること」をサロン内で共有させていただくと、「その事業ならご一緒できそうです」とお声がけいただくことがあるので、今日のような回も必要なんだろうなぁと思っています。
世界戦をグイグイ進めます。
あ、そうそう!
おかげ様で、先日の『ロッテルダム国際映画祭』は大好評でした。
プペルは全回SOLD OUT。
ちなみに、『アヌシー国際アニメーション映画祭』のグランプリの発表は20日の午前2時(日本時間)からあるそうです。
政治色の強い作品が選ばれる傾向があるそうで、アフガニスタン難民のサバイバルストーリーを描いたドキュメンタリーアニメがグランプリの最有力候補と言われていますが、プペルの前評判も良いそうです。
そりゃまぁグランプリが取れたら最高ですが、処女作ですし、そこまで甘い話も無いのかなぁとも思っています。
どちらに転んでも、すぐに次回作の制作を進めます。
サロンの記事を書くときに、いつも頭をよぎるのはウチの母ちゃん(よし子)のこと。
当時のよし子ときたら、四人の子供を育てるのに必死で、時間やお金に余裕などありませんでした。
きっと彼女のような人が日本にはたくさんいて、そんな人からすると「世界戦」なんて非現実すぎる。
五輪やワールドカップ以外で、「世界を獲るぞ」という話題がテレビから流れてくることもありません。
最近は日本人同士で罵り合っている番組(YouTubeも含む)が随分と増えました。
それもチョット寂しい話なので…
家事や子育ての合間に、スマホ(サロン記事)を開いたら、世界戦が繰り広げられていて、そこで「いけ〜!」とか「あ〜、畜生!」といった感じで一喜一憂できたらいいなぁと思って、こうして現在進行形の世界戦をお手元に届けています。
「午後からも頑張ろう」という活力に変えていただけると嬉しいです。
僕も、ゾウの動画ばっかり観てないで、頑張ります。
現場からは以上で〜す。
 
 
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2021年06月09日のエンタメ研究所の過去記事

6月9日(水) ※6月11日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
海外の有名サッカー選手がUFOを目撃して、「あれは100億%、ドローンじゃなかったっ!」というコメントを残していて、UFOやドローンよりも「100億%」という言葉に気持ちが持っていかれたキングコング西野です。
さて。
今日は『現代の【利益】と【損失】を知った上で、【利益】と【損失】を天秤にかけることが大切だよね』というテーマでお話ししたいと思います。
あらゆる情報が共有され、
あらゆるサービスのクオリティーが上がり、
あらゆるサービスのクオリティー(価格も含む)が均一化され、
「クオリティー」や「機能」で差別化が図りにくい時代となりました。
これを「クオリティーはどうでもいい」という誤った解釈をしてしまう方が多くいらっしゃいますが、そういうことではなくて(マジで!)……「クオリティーは最低限持ち合わせておくもの」ということです。
感覚で言うと「3年前の日本一ぐらいのクオリティー」がゲームに参加する際のドレスコードです。
絵の下手なイラストレーターさんの「私の絵はどうやって売ればいいですかね?」という相談の答えは、「いいから、上手くなれよ」の一択です。
話をするのはそれからです。
そんなことを踏まえていただいて、今日の話です。
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▼ 「目先の売り上げ」よりも「物語」の方が大事だ!
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新入社員の「べえ君」が責任者を務めるコーヒーショップ『CHIMNEY COFFEE』が結構面白いです。
売り上げと照らし合わせてみていくと、経営者の方も、いろいろ参考になる部分があるかもしれません。
『CHIMNEY COFFEE』は、
コーヒーとフィナンシェの味と、
従業員さんの笑顔は超一流で、
「経営力」だけが小学生レベルだということは最初から分かっていました。
これが逆だったら問題です。
どれだけ宣伝上手でも、コーヒーとフィナンシェが美味しくなくて、従業員さんの態度が悪ければ、お客さんを裏切ってしまうことになり、 そこで失った信用はCHIMNEYTOWNが仕掛ける他のサービスにまで及んでしまいます。
『CHIMNEY COFFEE』の場合はそうではありません。
オーナーの勉強不足によって失ってしまう目先の売り上げはどうでもいいので、そんなことよりも、「応援される店」になった方がいいと判断し、右も左も分からない「べえ君」に丸投げしてみました。
彼が最初に仕掛けた施策がなかなかクソで(笑)、「テーブル席に座るには事前予約が必要」というものでした。
渋谷にある『CHIMNEY COFFEE』は、そこまで広いお店じゃなくて、店内のテーブル席数には限りがあります。
そこで、べえ君は「事前予約制」をとったのです。
さて。
「CHIMNEY COFFEEのテーブル席は事前予約制です」と打ち出したわけですが……言葉って切り取られて伝わるじゃないですか?
やはり、
「CHIMNEY COFFEEのテーブル席は事前予約制」
→「CHIMNEY COFFEEは事前予約制」
と伝わり、スタッフが毎日のように「いやいや、違うんです!『テーブル席』は予約が必要なだけで、お店自体(お持ち帰りのお客様)は事前予約など要りません」と毎日アナウンスする始末。
毎日の「いやいや、違うんです!」の説明にスタッフのコストが割かれ続けているわけですから、お店としては大きな損失です。
経営者さんなら百人が百人この展開になることは始める前から分かると思いますが……知識も筋力も無いのに変化球を投げようとするのが「素人」という生き物です。
素人の脳内の計算式はいつも「自分の斬新なアイデア>先人達のアップデート」です。
先人達が数万回の失敗と改善を繰り返して、お店の形なんて、ほぼ完成されているのに、「何か新しいこと」をしたがるのが素人です。
ものすごくバカなんだと思います。
「テーブル席を事前予約制にする」という不思議な施策を始めて聴いた時に、失敗することは100%分かっていましたが(※たぶん当時のYouTubeの生配信で言ってたww)、しかし、それを止めることはしませんでした。
「べえ君」や彼のチームの皆が、失敗して改善して、また失敗して悩む……その成長過程をそのままお客様にお見せして、「応援される店」になった方が、機能差別化を図れなくなった時代を生きていけるからです。
サービスを買ってくれるお客さんを「顧客」と呼び、
サービス提供者を応援してくれるお客さんを「ファン」と呼ぶのならば、
今の時代は、たとえ売り上げが落ちようと「ファン」を抱えておくことが非常に重要で、
ここの理解がない株主を抱えている株式会社さんは、なかなか大変です。
そんなこんなで、いろいろありましたが……CHIMNEY COFFEEは最近「テーブル席の事前予約制」を撤廃したそうです。
一歩前に進んだように言っていますが、「普通の店」になっただけです(笑)
しかし、
失敗と改善をして、ようやく「普通の店」になれたことがメチャクチャ良いと僕は思っていて、 そこに物語があるからCHIMNEY COFFEEにはすでにファンが生まれています。
CHIMNEY COFFEEには「そうだよ!なんで、最初から、それをやらなかったんだよ(笑)。バカのクセに、カッコつけて変化球を投げてんじゃねぇよ(笑)」と笑い飛ばしてくださるお客様がいます。
「べえ君はバカだけど、コーヒーとフィナンシェは美味しいね」と言ってくださるお客様がいます。
僕もその一人です。
いいお店だと思います。
さて。
お店が一歩前に進んだので、「テーブル席を事前予約制にする」という判断のどこが間違っていたのか?を整理しておきます。
ここから先は、そこそこ汎用性のある話だと思うので、耳を傾けていただけると幸いです。
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▼ 未来の「損失」は見えにくい
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テーブル席を事前予約制にした狙いは分かります。
予約制にすることで、事前に準備できることもありますし、確定した売り上げもあるので精神的にチョット安心です。
しかし、それによって「え? CHIMNEY COFFFEって予約しないと行けないんじゃないの?」という人が出てきて、一人一人に「いやいや違うんです!テーブル席が予約というだけで…」と説明し続けるコストが発生してしまった。
さらに考えなきゃいけないことがあります。
それは、「え? CHIMNEY COFFFEって予約しないと行けないんじゃないの?」と声を上げてくださったお客様は、「CHIMNEY COFFFEは事前予約制だと“思っている”お客様」の極々一部でしかないということ。
大半の「CHIMNEY COFFFEは事前予約制だと“思っている”お客様」は何も言わず、店から離れていってしまいました。
この時、経営者がやらなきゃいけないのは「見える利益」と「見えない損失」を天秤にかけることです。
テーブル席を事前予約制にしたことで、売り上げの見込みが出て「やったやった」となったかもしれませんが……その裏では、その売り上げ以上の損失を被っています。
これを知る為には、「見えない損失」を割り出す必要があります。
ある判断をする時は、「その判断によって得られるもの」だけに目を向けるのではなくて、
「その判断によって失うもの」を全てリストアップする必要があります。
厄介なことに、「得られるもの」は【売り上げ】や【集客数】といった形で可視化されますが、「実は失っているもの」は目に見えないので、余計に注意が必要です。
ぶっちゃけた話……お客さんが店に来てくださった時に、テーブル席が埋まっていれば「ああ、今日は混んでるな」となるだけなんです。
店の前にお客さんが並んでいたら「まぁ、今日は日曜日だしね」となるだけなんです。
「テーブル席の事前予約」なんで、アナウンスしなくていいんです。
“実は予約できること”を常連客がコッソリ知っておけばいいだけの話なので。
「飲食店」って基本、そうじゃないですか(笑)
友達と店に行くときに、席が埋まっていたら嫌なので、事前に電話で席を予約しますが、
店の看板には『事前予約制です!』とはわざわざ打ち出していない。
そんなものを大々的に打ち出して「会員制の店」と勘違いされてしまう損失の方が大きいからです。
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話をまとめます
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『損して得取れ』という言葉があるぐらいですから、「見える利益」と「見えない損失」を天秤にかけることの重要性はこれまでも散々議論されてきたと思います。
ただ、近年、少し厄介なのは、「損失が複雑化している」ということ。
「得られるもの」と「失うもの」が、どちらも「売り上げ」や「集客数」だったら、まだ分かりやすいのですが、
機能で差別化を図れなくなった時代は、そこに「応援シロ」や「ほっとけない力」みたいなものが加わってきます。
「【売り上げ】を獲得しても【ほっとけない力】を失っていたら、トータルでみた時にマイナス」ということがありえます。
『いきなりステーキ』さんなんかは、この落とし穴にハマった印象です。
現代の利益は何か?
現代の損失は何か?
それを整理した上で、「見える利益」と「見えない損失」を天秤にかけることが大切なのだと思います。
べえ君の悪口を言い倒してしまったので、お詫びに『CHIMNEY COFFEE』の宣伝をしておきます。
僕も毎朝飲んでいるのですが、『CHIMNEY COFFEE』のカフェオレボトルが死ぬほど美味しいです。冗談抜きで美味しいです。
是非、一度、試してみてください。
現場からは以上で〜す。
 
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2021年06月08日のエンタメ研究所の過去記事

6月8日(火) ※6月10日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
隙間時間を利用して「フロイド・メイウェザーの動画」を見てディフェンスの勉強しているのですが、ここで得たディフェンス力がどこで役に立つのかが分からないキングコング西野です。
さて。
今日は「『若さ』が武器になることもあるけど、実際は、そうでもないケースの方が多かったりするよね」というテーマでお話ししたいと思います。
いつもタラタラと長くなっちゃってますが(すみません!)、たぶん今日はサクッと結論までいくと思います。
この記事を読まれる全ての方に“何らかの形で”関係のある話です。
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▼ S N Sは全員が10年生
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昨日、00:00 Studio(フォーゼロ・スタジオ)のオンラインイベントがあったのですが、そこに参加されていた方が「S N Sは年齢問わず、全員が10年生」という言葉を紹介されていて、自分の中でいろんなものが腑に落ちたので、今日は、その話をしたいと思います。
「S N Sは全員が10年生」とは、要するに、「今って、20歳の人も、50歳の人も、皆、S N S歴10年だよね(=全員が同じ芸歴だよね)」という意味です。
言われてみれば、そりゃそうなのですが、これは非常に「考えシロ」があるテーマです。
たとえば、明日、新しいサービスが始まったとするじゃないですか?
そのタイミングで始めれば、年齢関係なく全員が「1年生」です。
この時、議論すべきは「そのサービスを利用した者達の『差』はどこで生まれるのか?」です。
もちろん、「ダラダラと続けちゃう人」と、「秒速で改善を繰り返す人」との差は開いていくわけですから、「努力で差がつく」はあると思います。
しかし、そんな綺麗事よりも、“絶望的に抗うことができない現実”があります。
それは、「サービスを利用し始めたタイミングの自分が持ち合わせているもの」です。
それが「若さ」の場合もあるし、
それが「資金力」の場合もある。
こういう時は具体例を出した方が良さそうです。
たとえば「キングコング西野」で考えみます。
日本の、本当の意味での「オンライン投げ銭(ダイレクト課金)元年」は、クラウドファンディングが誕生した年だと思います。
日本にクラウドファンディングがやってきたのが2011年。
キングコング西野は、クラウドファンディングのサービス開始の数ヶ月後(2012年の正月)に飛びついたわけですが……2011年〜2012年といえば、「20歳の頃から11年間続いた『はねるのトびら』が終了した年」です。
全国ネットのゴールデンで、視聴率は毎週20%を超えていた番組です。
「認知」は十分すぎるほど獲得していて、その男が「ダイレクト課金」にシフトして、
『皆さん』ではなくて『あなた』に言葉を変え、一人一人とコンタクトをとったわけです。
20歳の無名の大学生よりも、よっぽどリードしている状態でのスタートだったわけですね。
それでいて、メディアの中心は“アラフィフ”だったので、「弱者」「新人類」というスタンスもとれた。
キングコング西野にしてみれば、抜群すぎるタイミングで「ダイレクト課金元年」を迎えたんです。
これは「たまたまそのタイミングで認知度を獲得していた」「年齢もちょうど良かった」という“努力ではどうしようもない部分”です。
今年は「N F T元年」ですが、これにしたって、有利に働くのは「若い人」ではなくて、「認知度を獲得している人」でもありません。
「このタイミングで、N F Tにできるモノを持っている人」です。
Twitterのジャック・ドーシーとか、デジタルアーティストのビープルとか。
「若くて、体力あります!」「テレビに出ている有名人です」という手札は、N F Tとの掛け算にならないんですね。
んでもって、ここからが本題です。
歴史を振り返ると、【新しいサービス】というのは、まずは「若い人(まだ実績がない人)」が最初に手をつけたりしますが……「案外、『若さ』は新しいサービスを利用する際のアドバンテージになってないことが多いなぁ」というのが僕の感想です。
「ただ、参加すれば勝てるハズのオッサンが参加してこないだけ」という(笑)
たぶん、「新しいサービス=若い人のもの」というブロックが皆の中にあると思うのですが、実際のところ新しいサービス(時代)は、「そのサービス(時代)を最大限利用できる資本を持っている人のもの」だったりします。
時代を見計らって「Amazon」が書籍販売からE C全般に事業を広げ、モンスター企業に化けたのは、ジェフ・ベゾスが45歳の頃です。
時代の針が巡ってきて、E C全般に事業を広げるアイデアがあったとしても、「知識と野望しか持ち合わせていない20歳のべゾちゃん」では、そんな勝負はできません。
まとめると、
よくよく調べる前に「新しいサービス(時代)は若い人のものだから…」といった調子で撤退してしまうのって勿体無いよ……という話です。
逆に若手はオッサンが「新しいサービスは若い人のものだから」と二の足を踏んでいる間に一気にシェアをとらないとダメだよね。
応援しています。
現場からは以上で〜す。
 
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2021年06月07日のエンタメ研究所の過去記事

6月7日(月) ※6月9日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
自由を奪われた時の喩えとして「まるで鳥カゴに閉じ込められた鳥のよう」という表現がありますが、
YouTubeで「鳥カゴの扉を自分で開けて外に出て、用事が済んだら、また鳥カゴに戻ってくる鳥の動画」をたくさん見ているので、「鳥カゴに閉じ込められて身動きがとれない……」と嘆いている鳥は、シンプルに頭が悪いのだと思い始めているキングコング西野です。
さて。
今日は「『食えるプラットフォーム』が増えてきたので、ここには気をつけておいた方がいいかも」というテーマでお話ししたいと思います。
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Netflixとディズニープラス
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少し余談から始めたいと思います。
自分自身、お客さんとして「どのエンタメに時間を使っているかなぁ?」と考えた時、パッと出てくるのは「Netflix」と「ディズニープラス」です。
落語や演劇やミュージカルやシルク・ドゥ・ソレイユを観に行くのも、
映画館に行くのも大大大好きなのですが、
投下している時間の長さでいうと、「Netflix」と「ディズニープラス」の2強です。
調べてみると、「Netflix」の会員数は現在2億760万人。
一方で、「ディズニープラス」の会員数が現在1億人チョイ。
会員数で見るとダブルスコアです。
ところがどっこい、「Netflix」の会員数が1億人を突破したのはサービス開始から10年が経った頃。
一方、「ディズニープラス」はサービス開始から1年半で1億人を突破。
ただ今、ディズニー先生が、もの凄い追い上げを見せています。
「米Digital TV Research」(=たぶん、いろいろ調べるのが得意な人達)の最新の予測によると、「2026年の『Netflix』の会員数は2億8,600万人で、『ディズニープラス』の会員数は2億9400万人になるよ」と出ています。
なんと、5年後に会員数が逆転するそうです。
※ちなみに2026年の「Amazon Prime Video」の会員数は1億8,400万人だそうです。
ここから5年で「ディズニープラス」は急成長するらしいのですが、その理由は、21世紀フォックスが持っていた「ホットスター」というインドの配信会社をディズニーが買収したから…と言われています。
(※ディズニーが「21世紀フォックス」を買収したから、「ホットスター」もディズニーのものになったよ)
日本ではあまり知られていませんが、ディズニーが買収した「ホットスター」の会員はサラッと1億人チョイ。ほぼ日本の人口です。
日本のエンタメ業界では「『Netflix対ディズニープラス』は外国の一軍の人達の試合で、自分達には関係ありませんから」みたいな顔が散見されますが………会員数が増えれば、その分、コンテンツにかけられる予算が増えるます。
当然、「広告費内で作っている日本のドラマ」とのクオリィーの差はひらきます。
そして、そういった作品が「家のテレビ」という同じ商品棚に並べられるわけで、まったくもって他人事なんかじゃありません。
こういった《天井知らずの月額エンタメ世界戦》に、製作費に上限がある日本ドラマが「画面の強さ」で対抗しようと思ったら、あとは俳優のギャラを削るしかありません。
そうなると、俳優はドラマに出ても稼げないから、「ドラマで顔を売って、C Mで稼ぐ」という打ち手しかなくなり、「不祥事を起こして一発アウト」のリスクが高まります。
時々、ニュースで流れてくる「賠償金ウン億円」というアレです。
これは、地雷を抱えながら走っているようなもので、あまり健康的ではありません。
僕は日本のドラマ畑の人間ではないので詳しい内情は知りませんが、こんな無理が続くとは思えず、「日本のテレビ=通販番組orワイドショー」に流れていきそうな匂いがしています。
ここからが本題です。
Netflix』vs『ディズニープラス』の会員数の話になると、「売り上げはどうなんだ?」という話が必ずついてきます。
実は、2026年に「ディズニープラス」が会員数で逆転しても、月額料金が違うので、売り上げに関しては「Netflix」の軍配が上がります。
ただ、
Netflix」と「ディズニープラス」と「Amazon Prime Video」を同じ棚に並べてしまうのはナンセンスです。
Netflix」と違って、「ディズニープラス」と「Amazon Prime Video」は莫大な収益を生んでいるとはいえ『フロントエンド商品(集客をする為の商品)』であって、「ディズニープラス」や「Amazon Prime Video」には「ディズニーランド」や「Amazon」といった『バックエンド商品(売り上げを作る商品)』が後ろに控えています。
「ここを見極める目を持っておくことが大事だよね」というのが今日のテーマです。
ディズニーが、コロナ禍で世界中の映画館から反発を喰らいながらも新作映画の出しどころを「配信」に切り替えたのは、「ウチの映画はフロントエンド商品だ」という覚悟だったように思います。
気づいてました?
いくつかの映画館で上映していたディズニー最新作『ラーヤと龍の王国』は、家(ディズニープラス)で観れたんですよ?
コロナが世界を襲ったあの日、ディズニーは「映画館に応援されなくなるかもしれない」と、「それでも、たくさんの人に観られた方がいい」を天秤にかけた。
個人的には、その覚悟に震えました。
話が散らかっているので、そろそろまとめます。
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▼ 見極めよう
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今回のディズニーの話を聞いて、「へぇ〜」となっている場合じゃなくて、各プレイヤーの「フロントエンド商品」と「バックエンド商品」を見極める目をキチンと養っておくこと(見極める癖をつけこと)が、これから非常に重要になってくると思います。
今、様々なプラットフォームが「収益化」に向けて動いています。
Twitterもそう。Voicyもそうですね。
これらは、もともとプレイヤーの「フロントエンド商品」を置く場所でした。
ですが、「収益化できるようにしてよ!」という世の中の要望を汲んで、収益化できる場所になりつつあります。
世の中が「収益化できないプラットフォーム」を許さなくなってきたわけです。
それはそれで結構ですが、「収益化できるようになった」とはいえ、そこは元々、「フロントエンド商品の置き場」です。
つまり、同じ商品棚に、「ここでの売り上げは要らねぇです。知ってもらえればそれでO K」というディズニーやAmazonみたいな人がシレッと並んでいる。
前までなら、「このプラットフォームでは食えないから、ここでは集客して、キチンとバックエンド商品を用意しないといけない」と全員が(特に意識を持っていなくても)割り切れていたのですが、全てのプラットフォームが「食えるプラットフォーム」になると、なまじっか食えるモンだから、「フロントエンド・バックエンド」という意識が薄れ、「どれぐらい食えるのか?」を考えなくなり、バックエンド商品の開発がおざなりになってしまう。
その時、バックエンド商品を持っているプレイヤーが本腰を入れて攻め込んできた時に一気にまくられてしまいます。
食えるようになってきたプラットフォームに過度の期待を抱いてはダメで、「自分のフロントエンド商品は何で、バックエンド商品は何か?」という意識をキチンと持った上で、「食えるようになってきたプラットフォーム」に参戦するのがいいと思いま〜す。
現場からは以上で〜す。
 
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2021年06月06日のエンタメ研究所の過去記事

6月6日(日) ※6月8日以降は『いいね』を押さないでください。
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こんにちは。
日曜日の今日は仕事のお話をお休みして、ちょっとした思い出話と、最近あった少し嬉しかったことについてお話したいと思います。
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▼ 巡り巡る物語
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今週は、絵本『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』が発表され、ミュージカル『えんとつ町のプペル』の情報も解禁され、何かと賑やかな1週間でした。
渋谷の CHIMNEY COFFEEに行けば、今日も【小学生以下のチビッ子】を対象に『みにくいマルコ』をプレゼントさせていただいています。
年齢確認をするわけではないので、中学2年生であろうと「小学生です!」と言い切れば、『みにくいマルコ』が貰えます。
オッサンでも、背が小さければ、「小学生です!」と言い切ることで、ギリいけるかもしれません(80%ぐらいの確率で警察に通報します)。
必要なのは「言い切る覚悟」です。
今日もチーム一丸となってエンターテイメントを作っています。
なんか海外でチョコチョコやってるし、傍から見ると「イケイケ」に見えるかもしれませんが、どっこい、内情はそんなことはありません。
まるで片付かない問題だらけで、チーム一丸となって毎日毎日頭を抱えています(笑)。
しかし、問題にぶつかる度に気づかされるのは「去年の自分が抱えていた問題のちっぽけさ」で……そう考えると成長させてもらっているのかもしれません。
「去年の僕は、なんで、あの程度のことで頭を抱えていたんだろう?」と思うことだらけなので、今抱えている問題も、まもなく「とるにたらない問題」になるのだと思います。
メディアにチャンネルを合わせると、暗いニュースや、誰かと誰かが喧嘩をしている情報ばかり流れてきます。
本質的には多くの人がそういったネガティブな情報を求めていて、多くの人が何かに怒りたがっているのでしょう。
あるいは、誰かを正論で攻撃することで、「自分がいかに正しいか?」を自分に言い聞かせている。
そこにニーズがあることは百も承知ですが、そのニーズに応えたところで、何かが大きく前進するとは思えません。
最近、「すっごくイイなぁ」と思っていることがあります。
それは、「『えんとつ町のプペルが好き』で集まる人がいる」という事実です。
「『えんとつ町のプペル』が好きってことは、あなたも、挑戦する人を応援する人なのね?」といった感じで。
「『広島カープ』が好きってことは、地元を愛し、“手作り感”を愛している人なのね?」みたいな(笑)
ファンタジー作品が「待ち合わせ場所」になっていて、そこに集まった人達同士で、互いが提供するサービスを(機能価値とは別の理由で)選び合っています。
それは、大資本の猛攻(安さ勝負・機能勝負)を防ぐことができる障壁であり、石垣であり、堀です。
その役目を担っているのが「ファンタジー」というところに、人間の創造力を感じます。
昔、一度だけユーミン松任谷由実)さんと飲ませてもらったことがあって、その時に、
「あなたの力は大きいから、正しく使いなさい」という言葉をいただきました。
その言葉はずっと胸に刺さっていて、いつも思い出します。
苦労は絶えませんが、ファンタジーを作ることで救える人がいるのならば、僕は自分の力をそこに集中したいと思います。
ところで…
そういえば、このサロンの中で「僕が生涯をかけて向き合っている宿題」について、まともに話したことがないので、今日は最後に、その話を少しだけしたいと思います。
25歳の頃にテレビの世界から軸足を抜いて、スッタモンダがありまして、絵本作家になることを決めました。
その時に考えたことは二つ。
一つ目は、「せっかく作る物語なんだから、時が過ぎても定期的に思い出してもらえるように、『日常生活で目に入るもの』に物語を埋め込もう!」ということ。
たとえば、地球で暮らす以上、12分割されている時計を見ずに生きることはできません。
そこで、『チックタック 〜約束の時計台〜』という「11時59分」の物語を作りました。
11時59分は毎日確実に2回やってくるので、『チックタック』という物語を思い出してもらえるチャンスが毎日2回やってきます。
同じ発想で「星空」に物語を埋め込めば、物語を思い出してもらえるキッカケが毎晩やってきます。
僕の絵本が「星空」が多く登場するのは、そういった事情があります。
そして、二つ目が今日の主題です。
今、思うと「25歳のクセにそこそこシッカリしてやがるな(笑)」といったところなのですが……「生涯現役」を掲げた25歳の若造は「年齢によって、求められる能力が変わってくる」と判断しました。
サッカーのフォワードで喩えるなら、40歳までが「フォワード」で、そこからザックリと10年おきに「ミッドフィルダー」「監督」…となっていくイメージです。
人によっては「40歳からの仕事は、40歳までに築いた人間関係の掛け合わせだ」と表現する人もいます。
「25歳の僕に求められているのは『種を撒くこと』で、それを形にしていくのは、もっと大人になってから!(もっと人間関係を築いてから)」と判断し、25歳から約1年ほどを費やして、「一生をかけて形にしていく物語」を描いてみました。
描いたのは物語の詳細というよりも、「物語の骨組み」ですね。
詳細をつめるのは、後から。
えんとつ町のプペル』は世の中に出る10年前から「プロット(ザックリとしたストーリー)」があったのです。
ちなみに『えんとつ町』があるのは、オリオン座の三ツ星の下にある【オリオン座大星雲(M42)】の中にある「地球によく似た星」です。
天体に詳しい人ならご存知だと思いますが、【オリオン座大星雲】は厚いガス雲に覆われています。
もちろん『えんとつ町』の仕業です。
25歳の生意気盛りの若造は、ギリシャ神話を読んで、「この程度なら小指で書ける」という感想を持ち(※今も思ってます)、もう誰も追いつけないような「星めぐりの話」を書くことに決めました。
僕の絵本の物語は全て繋がっていて、このまま順調にいけば、5〜6年後から伏線回収に入ります。
一昨日、次々々々回作(たぶん4年後とかに出る!)の絵本『えんとつ町のプペル ~オリオンの約束~』を書いていたのですが、なんかイイ感じの物語になりそうです。
というわけで、物語の冒頭部分のプロットだけをサロンメンバーさんに共有しておきます。
「最近あった少し嬉しかったこと」というのは、絵本『えんとつ町のプペル ~オリオンの約束~』の冒頭部分がイイ感じの滑り出しを見せてくれたことです。
世に出るのは4年後とかなので、内緒にしといてもらえると嬉しいです。
文字通り“命を懸けて(一生涯をかけて)”エンターテイメントを作っています。
25歳の頃に、人としての幸せはいろいろ諦めましたが、それと引き換えにいただいているギフトがたくさんあるので、これ以上の贅沢は言いっこ無しです😊
まだ、そんなこんなで長い付き合いになりそうですが、今後とも宜しくお願いします。
 
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2021年06月05日のエンタメ研究所の過去記事

6月5日(土)※6月7日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
『スナック西野』で、ダイノジの大谷さんから相談された時にはベロンベロンに酔っ払っていたので、「恐竜の格好でD Jをやればいいんのですよ。答えは『D Jザウルス』です」と言ってしまったのですが……どうやらD Jザウルスプロジェクトが本当に進んでいるらしいので外国に逃げたいキングコング西野です。
今日は「クリエイターは『共感ベースの数字』に引っ張られちゃダメだよ」というテーマで、このサロンにいるクリエイターさんに注意点を伝えつつ、最後に、めいっぱいエールを贈りたいと思います。
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▼ 物事の見方
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「物事は、虫の目と、鳥の目と、魚の目で見ろ」と、よく言われます。
アレやコレやと判断する時は、その事柄について「主観(接近)」で捉え、「俯瞰(高いところ)」で捉え、「流れ」で捉えようね……という意味です。
「木を見て、森を見ず」みたいに言われたりもします。
チーム単位で動いていると、クリエイターとプロデュサーで、それぞれ「虫の目」と、「鳥の目」「魚の目」を役割分担することができますが、個人だと、それら全てを一人でやらねばなりません。
ちなみにキングコング西野は、「虫の目、鳥の目、魚の目のバランスが抜群だ」と業界人の間では評判です。
たとえば、今年1月末に一世風靡したClubhouse(クラブハウス)なんて分かりやすいです。
物事を「虫の目」で見ている人は「流行っているらしいぞ!次のYouTubeみたいになるかもー!フォロワーを稼げー!」と言って始めました。
一方で、
物事を「鳥の目」や「魚の目」で見ている人は、「全地球人全員が時間貧乏になっている中、こんなに時間を奪ってしまうサービスが成立するわけがない。まぁ、数ヶ月でポシャる」まではお見通しで……そんなことよりも、「『一人あたり2人まで招待できる』というFOMO(取り残される不安を煽って人を集めるモデル)気味のルールが、どこまで機能するのか?」という勉強として触っていました。
サービスとしては失速を前提に触っていた人達からすると、学びの大きなサービスであったことはないし、音声メディアの運営者からすると、絶好の宣伝チャンスであったことは間違いありません。
いずれにせよ「俯瞰で見る」「流れで見る」ということは、やっぱり大事で、今日は、そっち系の話です。
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▼ モノを作っている人が強くなる時代
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ここ最近、感度高めの人達がこぞって「『意見(ニュースの斬り方)』で共感を集めて、マウントを取るやり方は、もうあんまり美味しい匂いがしないよね」という話をしています。
このサロンでもよく言っていますが、僕も同じ考えです。
「時代の変わり目あるある」として、「各業界のトップランナー達が、“示し合わせたわけでもないのに”同時多発的に同じ考えを持つ」があって、まさに今だな、と思っています。
クリエイターさんにとってみれば朗報ですが、時代は徐々に「モノを作っている人」を求めています。
しかし、気をつけなければなりません。
今朝、寝起きでパンパンに腫れ上がった顔面でインスタライブをしていたところ、「名もなきクリエイター00:00(フォーゼロ)スタジオでフォロワーを稼ぐにはどうすれば?」という質問をいただきました。
「00:00スタジオ」というのは、クリエイターが作業中の様子を淡々とライブ配信するサービスのことです。
(※こちら)→https://0000.studio/
もちろん運営サイドはそれを「良し」とはしないでしょうが(=できるだけ援護射撃をしよとするでしょうが)、僕個人的に思う「00:00スタジオ」の魅力は、
「視聴者がゼロ人でも問題ない。なぜなら、仕事(作業)は進むから」
…だと思っています。
ここがYouTubeとは圧倒的に違うところです。
YouTubeの場合は「視聴者」が時間の主導権めいたモノを握っていて、再生回数が少なかったらオワコン扱いされますし、配信者が喋らなければ「喋れよ」となります。
以前、ひろゆきサンから「西野さんはYouTubeの生配信で喋らないからダメ」とお叱りを受けたのですが……本音を言うと、あの意見は結構ズレていると思っています。
僕にとってみれば、YouTubeの再生回数やチャンネル登録者数を稼ぐことよりも、『映画 えんとつ町のプペル』を作ることの方が遥かに価値が高くて(リターンも大きくて)、視聴者さんのコメントをダラダラ見ることで制作のリズムが掴めるのであれば、喜んでダラダラ見ます。
クリエイター本人や、クリエイターをサポートしている人なら、お馴染みの光景だと思いますが、クリエイターには「エンジンがかかるのを待つ時間」という、なんとも言い訳じみたクソ時間が存在して、どうせ今回も締め切りに追われることになるのに、YouTubeで動物の対決動画とかを延々と数時間観ちゃうんです。
でも、いいんです。
動物の対決動画に無駄な時間を費やそうが、圧倒的な作品を生んで、それによってスタッフの雇用も生みされすれば、それが正義なんです。
毎日、風俗に通っていようが、『アナと雪の女王』を作れば天皇になれるのがクリエイターです。
一方で、どれだけ真面目に働こうが、どれだけお人好しだろうが、人の胸を打つ作品を作れなければボロ雑巾のように扱われるのがクリエイターです。
YouTubeのコメントを秒速で打ち返すか否か?」はYouTuberの議題であって、クリエイターの議題じゃありません。
ただ、YouTubeはそれを許さないでしょう。
「生配信している以上は視聴者の相手をしろよ」というのがYouTubeの言い分です。
「00:00スタジオ」が追求すべきテーマは、「いかに、クリエイターの作業時間を奪わずに、クリエイターの活動の後押しをするか?」という部分で、
視聴者がリターンを求めすぎない空気作りが大事なのだと思います。
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▼ そんな数字を相手にするな
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今朝のインスタライブで、クリエイターの卵さんから質問をいただいた時に、最初に思ったのは「気持ちはメチャクチャわかるけど、クリエイターのキミが追わなきゃいけないのは、そこ(視聴者数)じゃなくて『作品の出来』で、『作品の出来』と『制作過程の視聴者数』は比例関係にないよ」でした。
ところで、ビニール傘の年間の消費量って知ってます?
【8000万本】です。
毎年、8000万本が売れてるんです。
毎年なので、10年で8億本です。
すごい数ですよね。
では、これだけの価値を生んでいる「ビニール傘の考案者(ビニール傘の生産者)」が誰か知ってます? 
知らないですよね。
ビニール傘の考案者がYouTubeを開設しても、チャンネル登録者数は1000人いかないと思います。再生回数も回らない。
S N Sで「いいね」も集まらなければ、フォロワー数もそこまで増えない。
そんな数字どうだっていいんです。
だって、年間に8000万本も売れる製品を作ったのだから。
「数字なんてどうだっていい」という話ではありません。
「クリエイターが向き合わなきゃいけない数字は、【共感された数】じゃなくて、【作品の売り上げ】だよ」という話です。
ここ数年間で(世界で)3000万人近くのお客さんを動員したチームラボの猪子寿之さんのTwitterのフォロワーは5万人ほど。
世界に展開しまくっているアパレルブランド「♯F R2」の仕掛け人の石川涼さんなんて、まともにS N Sをやっていなくて(もちろんYouTubeもやってない)、たまにInstagramを更新したかと思いきや、「ガタガタ言ってねぇで、仕事しろ!」しか書きません(笑)
繰り返しますが、人々からの「共感」と「生み出した価値」はイコールではありません。
全てにおいて「≠」ではありませんが、「≠」になることの方が実際は多いです。
アンジャッシュの渡部さんが多目的トイレで女性とアンジャッシュした件について、「嫁がいるのに最低!」と意見したところで、「共感(いいね)」は集まりますが、価値は1ミリも生んでいません。
どれだけ共感を集めようが、「価値を生まないクリエイター」なんて誰も要らないので、「共感ベースの数字」と「まわりの声」に振り回されないように気をつけてください。
周囲からヤイのヤイの言われた時のクリエイターの返し刀は一つ。
「ごめんごめん。ところで、キミは何を作ったの?」
これが言えたら問題ありません。
応援しています。
現場からは以上で〜す。
 
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