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2021年04月14日のエンタメ研究所の過去記事

4月14日(水) ※4月16日以降は『いいね』を押さないでください。
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おはようございます。
おでんの「ちくわぶ」が何から出来ているかよく分かっていないキングコング西野です。
さて。
今日は『新作制作の進行状況と、それにまつわる想い』を共有したいと思います。
『情報』に、「役に立つ情報」と「意味がある情報」があるとするなら、今日は「意味がある情報」です。
忙しい方は読み飛ばさしてください。
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▼ サロンメンバーの皆さんと共有しておきたい「目的」
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きっと、この誤解が消えることは一生無いと思うのですが…僕は、許されるなら、朝から晩まで「作品制作」と向き合っていたくて、それ以外のことは何もしたくないダラシナイ人間です。
しかし、「資金繰り」や「マーケティング」、あるいは「権利」の問題を後回しにした表現者が、あるタイミングで、その活動を止められてしまうことは歴史が証明しています。
酒場で「夢」だけを語り、
「夢の守り方」と向き合うことをせず、
むしろ「夢の守り方」を議論することを不潔なものとして、誤った清貧思想を持ち、
その結果、
表現活動から退いていった芸人や役者やクリエイターを、これまで数千人は見てきました。
「最近、あなたが作った作品を見せてください」と訊くと、多くの表現者が目をそらします。
だから、訊きません。
ウォルト・ディズニーや、岡本太郎や、バンクシーや、サルバトール・ダリや、チームラボや、庵野秀明監督…といった『作り続けている表現者』は皆、「資金繰り」や「マーケティング」などの厄介な問題と向き合っています。
そうでなければ、『エヴァンゲリオン』はパチンコ台にはなりません。
昔、『エヴァンゲリオン』がパチンコ台になる時に「銭ゲバだ!」と揶揄する人達がいて、言葉を失いました。
表現者が「資金繰り」や「マーケティング」といった問題と向き合う理由は、富を得る為などではなく、「夢を追い続ける為」「予算を確保して作品のクオリティーを上げる為」です。
ミュージカル『えんとつ町のプペル』を担当しているウチのスタッフ(セトちゃん)には、「できるだけ多くの舞台に足を運び、お金の問題を後回しにした表現者がどういった末路を辿り、資金繰りに魂を売らなかった作品がどんなクオリティーに甘んじるか…その現実を見ろ」と伝えています。
端的に言うと、「もっと狂え」というパワハラです。
僕らの目的は「作品」です。
ウンチクやノウハウは海を越えません。
世界戦の扉を開いてくれるのは、圧倒的な作品です。
それしかありません。
それを生み出す為に狂うしかありません。
このことをサロンメンバーの皆さんと、あらためて共有しておきたいと思いました。
僕が何の為に発信を続け、僕らが何の為にサービスを作り、ビジネスを回しているか、を。
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▼ 次回作を着々と作っているよ
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世の中からは、どうしても「役に立つ情報」が求められます。
なので、Voicyなどで日頃発信しているのは、リスナーの方が自身の生活や仕事に転用できるような「役に立つ情報」だったりします。
ビジネス書に書く内容も同じく。
そんな背景もあって、僕が発信する内容は「役に立つ情報」の割合が多めになっているのですが、僕のお仕事の時間割は、それとは正反対で、「役に立つ情報」の発信に充てている時間が10分の1程度。
残りの時間は全て「作品制作」に充てています。
アトリエに籠って、朝から翌朝まで、ず〜っと「う〜、あ〜」と呻(うめ)きながら、頭を掻きむしっています。
アトリエには誰も立ち入らせないので、そこは基本的には誰も知らない部分ですが、
サロンメンバーの皆さんとはそういった「役には立たない情報」も共有しておきたいと思います。
昨日、歌舞伎版の『えんとつ町のプペル』の台本の初稿が書き終わりました。
タイトルは仮ですが、今のところは『屋根葺の玄』(やねふきのげん)となっています。
「屋根葺」というのは、屋根の瓦を張り替えたりする職人さんのことです。
「玄」は主人公の名前で、『えんとつ町のプペル』でいうところの「ルビッチ」にあたります。
今度は、煙突の上で働く少年ではなくて、屋根の上で働く少年の物語。
僕はいつも「一枚絵」から物語を考えるのですが、今回は「五重の塔の屋根からゴミ人間が江戸の町を見下ろしていたら、カッコイイなぁ」というところから始まりました。
書きあがった台本は、すぐに市川海老蔵さんに送り、このあと、単語や言い回しを歌舞伎調(江戸風)に修正する為に「文芸部」に回します。
『屋根葺の玄』(歌舞伎版『えんとつ町のプペル』)の出来があまりにも良いので、「これはこれで一冊の絵本にしようかなぁ」という気持ちがムクムクと湧いてきています。
歌舞伎をどう展開していくかは、また次の機会にお話しさせてください。
「作品制作」のことで皆さんと進行状況を共有しておきたいことが、もう一つ。
5月末に発売する絵本『みにくいマルコ ~えんとつ町に咲いた花~』が、98%ぐらい完成しました。
もうホント、あとチョイです。
今作は『映画 えんとつ町のプペル』から3年後の世界が舞台となっています。
主人公の「みにくいモンスター」のマルコは、口が縫われていて、最後の最後まで一言も台詞を発しません。
「マルコの口は、誰によって、何の為に縫われたのか?」
それが分かるのは、また数年後。
『えんとつ町』の物語はまだまだ続きます。
今回は、(まだ表には出していない)新しくできたページと、西野絵本史上もっとも地味(笑)な「表紙」と「裏表紙」をサロン内で先行して公開したいと思います。
「おお、いよいよ出来上がってきたなぁ〜」を感じていただければ。
作品作りは「手や足を動かせば、確実に前に進む」といった類の仕事ではなくて、丸一日かけても何も進まないことだらけ。
四六時中アトリエに籠っていると、着実に前に進んでいる人が眩しく見えて、まったく苦しくて仕方ありませんが(コスパが悪いったら、ありゃしない!)、この部屋から逃げたら何も始まりません。
作品こそが、僕が他のものではないことを証明できる唯一のメッセージです。
きっと皆さんのお仕事や、学業や、生活や、子育ての中にも、「コスパは悪いけど、自分を自分たらしめる仕事」があると思います。
そういった仕事は短期的な評価は受けないので、やりきれない瞬間はたくさんあるとは思いますが、それは僕も同じです。
世界中が寝静まっても尚、パソコンや鉛筆を走らせて、
前に進んでいるのかどうか分からない夜を何度も超え、何の評価も受けず、
数年かけてようやく生み出した作品を必死で届けようとしたら、
今度は「銭ゲバ」と呼ばれる始末。
そして、散々、「銭ゲバ」と揶揄された挙句、数年後には、皆が何食わぬ顔で僕と同じやり方を真似し始める。おいおい。
それでもこうして「踏んだり蹴ったりで、やりきれないことだらけなのは僕も同じです」を共有することが、少しでもエールに変わるのならば幸いです。
励まし合いながら、前に進めると嬉しいです。
『みにくいマルコ ~えんとつ町のプペル~』が、もうすぐ完成します。
現場からは以上で〜す。
 
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