西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2022年01月21日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。
『プペル歌舞伎』のストーリーをステージセットの上で作者本人が全て喋るオンライン配信イベントで、極上のトークスキルで、お客さん&スタッフを沸かせた後に、調子にのってギターを弾き語りしたところ完全にスベってしまったキングコング西野です。
#弾き語りは要らなかった説
#そもそも歌声が汚い

さて。
今日は『プペル歌舞伎閉幕の裏側で起きていること』というテーマでお話ししたいと思います。
公式で情報リリース前の情報が含まれておりますので、今日の(具体的な)内容はナイショです。
#公式情報リリース後はペラペラ喋ってもらって大丈夫です

 

人事を尽くして天命を待つ
 
コロナ禍の生存戦略はシンプルで、「できることは全てやる」です。

そして、昨日の記事でも書かせていただいたとおり、その日に備えて「できること」の幅を広げる為に、日頃から「知識」を仕入れておき、仕入れた知識を最速で行使できる「信用」を稼いでおく。

…コロナ禍の生存戦略は、これに尽きます。

プペル歌舞伎の千秋楽の公演中止が決まった瞬間、「チケットの払い戻し」によって発生する金額は僕一人で稼ぐことを決めました。
#結果的にたくさんのスタッフさんとたくさんのファンの皆様に助けていただきました
#本当にありがとうございます

いつも僕の胸の中にあるのは、「僕のやりたいようにやらせてくれたら、確実に勝たせられる」で、これはビッグマウスでも何でもなくて、冷静に算盤をはじいて出した結論です。

ただ、(昨日もお伝えしたとおり)「やりたいようにやらせてもらう」というのが最も高い壁で、それこそアドバイスを求めれたときに「ココに陣を構えて、この角度から攻めていきな」と言っても、言ったとおりにやってもらえないことなど日常茶飯事。

多くの方が、「少ない知識と経験に基づいた自分オリジナル」を混ぜ込んで、勝ち目のない戦に出ていきます。
#あちゃちゃ

そんな中、プペル歌舞伎はかなり柔軟に対応していただいた方だと思うのですが、一点、(おそらく皆様も気になっている)「配信」の難しさがありました。

コロナ禍における劇場型エンタメにおいて、「配信に対して後ろ向き」というのは自殺行為で、かなりエグい話をすると(ナイショだよ)、現代の演劇プロデューサーは「配信NG」のキャストさんをブッキングしてはいけません。

公演中止になったところで、配信NGのキャストさんの事務所が、チケット払い戻し分を負担してくれるわけではないので、致死率が上がるだけです。

コロナ禍の舞台制作の打ち手としては…まずは「配信NGのキャストをブッキングしない」、そして次に、「なるべく早い段階で(※コロナの陽性者が出る前に)公演を撮影しておく」といったところでしょう。

そして、撮影した素材は、「公演続行が不可能になった際の切り札」としてとっておく。

エンタメ人のエンタメ戦争はウン十年続くわけですから、まずは、とにもかくにも「何が起きても死なない身体」を作っておくことが大切です。

これはエンタメ畑の人間だけじゃなく、全てのサービス提供者の基本姿勢です。
#どれだけ才能があっても死んだら終わり

…とまぁ、ここまでは、「そりゃそうだよね」的な話なのですが、その話が簡単に通らないのが伝統芸能の世界です。

「こうで、こうで、こうやった方が皆ハッピーになるので良くないですか?」と提案すれば、「う~ん」と首を捻られ、「なるほど。…ちなみに、この提案だと、どの部分がマズイですか?」と質問すれば、「う~ん」と首を捻られる。

以前、お話ししましたが、誰か「個人」ではなく、「空気」が判断しているのが伝統芸能の世界だったりします。

今回は、コロナ禍での公演になりますし、コロナ関係なく、「役者が動かないとお金が生まれない」という労働環境は、『作品』や『権利』というものを生み出す人としては正解とは思えず、当然、プペル歌舞伎と、一番最初の段階で「配信」の話をさせていただきました。

海老蔵さんが身体を壊されたり、事故に遭われた時に、全員の収入がストップしてしまう体制はあまりにも危険なので、ちゃんと『作品』と『権利』を作って、身体を動かせない時も売上を作れる体制を作りましょう」と。

キチンと話せば、皆さん、「そうだよね」となるのですが、先程も申し上げたとおり、伝統芸能の世界では「空気を口説き落とす」という作業になるので、一筋縄にはいきません。

僕自身、長期戦を覚悟していました。
つまり、「今回は信用獲得に努めて、『配信』という打ち手は次回に…」という判断です。

ところが、ここに来て流れが変わります。

「千秋楽ができなかった」という事実は、チームの皆の胸に深く刺さり、「こんなにも愛された作品を(コロナによって)届けきれないのはどうなんだ?」という“空気”が芽生えはじめたのです。

昨日、一人でおこなった千秋楽の現場で、スタッフさんが口々に「配信」という言葉を発していて、僕はてっきり「キンコン西野が公演中止になった舞台セットで、『プペル ~天明の護美人間~』のストーリーを全部喋る会(800円)」のオンライン配信の話をされていると思っていたのですが…どうやらそうではなさそう。

「本公演の配信を…」という声が聞こえてきました。

「本公演の配信」といったところで、公演を撮影していないし、舞台セットは今日でバラシてしまいます。
本公演を配信をするには、当然、このステージで、本公演を撮影しなければなりません。

そう思って、昨日(ホントに昨日!)スタッフさんに話しかけたところ、「……実は、記録用に本公演を5カメで撮影していたんです」と返ってきて、西野の全鼻血を吹き出しました。

さて、ここからどうなるのでしょうか?
僕もまだ分かっていませんが、ただ一つ。

千秋楽の公演中止が、明らかにプペル歌舞伎チームの空気を変え……なんだか面白そうな匂いが漂ってまいりました。

もちろん特大ホームランを狙いにいきます。
続報をお待ちください。

いつも応援してくださって本当にありがとうございます。

現場からは以上です。

【追伸】
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