西野亮廣のエンタメsalon

西野亮廣エンタメ研究所の過去記事を中心にアップしてます

2022年04月08日のエンタメ研究所の過去記事

おはようございます。
「胃」の位置が思っていたより上にあることを昨日知ったキングコング西野です。
#お腹あたりにあると思ってた
#胃はミゾオチあたりにあるんだぜ
#知ってた ?

さて。
今日は『子供を守り、子供に守られるコミュニティー』というテーマでお話ししたいと思います。

 

子供の才能とは何か?

「子供は皆、天才」という言葉をよく耳にしますが、もう少し解像度を上げて、「子供には、一体、何の才能があるのか?」をキチンと言語化して、全員で共有して、その上で「町」を、「会社」を、「チーム」を、「コミュニティー」を、「イベント」を設計した方がいいと思っています。

たとえば、西野がもっぱらハマっている(可能性を感じている)『ファミリーフットサル』でいえば、昨日の記事でもサラッと触れましたが、子供がリミッター(スピードの上限を決めてくれる役割)として機能していることで、「勝ち/負け」の重要度が下がり、それによって、「経験者による排除の力学」が働かなくなります。

僕はエンタメ村で生きているので、ここはよくよく思い知っているところですが、
いつの世も、プロが(舞台袖やコアファンを意識した)技術を追求して、コアファンが「にわかファン」を否定し始めたエンタメから消えていっています。

ちなみに(これは覚えておいた方がいいっす!)、「文化衰退のプロセス」は以下の通り↓

① プレイヤーが技術を追求する。

② 技術が上がれば上がるほどお客さんが増える。

③ プレイヤーの中で「技術を追求する=お客さんが喜ぶ」という構図が完成する(←アホ)。

④ 「技術を上げればいい」と信じてやまないプレイヤーが、引き続き技術を追求する。

⑤ 普通のお客さんには違いが分からないレベルに達する。

⑥ 「違いが分かるお客さん」がドヤりはじめる(←アホ)。

⑦ プレイヤーも違いが分かるお客さんをありがたがる。

⑧ 「違いが分からないお客さん」は居心地が悪くなって、出ていく。

⑨ 客席のほどんどが「コアファン(違いが分かるお客さん)」になる。

⑩ コアファンを無視したら、運営が成り立たないので、コアファンの意見を聞かざるをえなくなり、新規が入るインセンティブが無くなり、文化が死ぬ。

…という感じです。

歴史を遡れば、あらゆるエンタメがこのプロセスを踏んで消滅していっているのですが(終わり方の法則があるのですが)、多くのプレイヤー&クリエイターは、歴史から学ぶ(数百年スパンで考える)ということを、あまりしません。

ちなみに、コアファンには、「理解のあるコアファン」(←最高!)と、「バカなコアファン」がいて、基本的に西野亮廣はいつも「バカなコアファンは無視しましょう」とスタッフに言っています。
#そんなこと言うな

さて。
「子供の才能」とは何か?

ファミリーフットサルにおいては、明らかに子供が「参加のハードル」を下げてくれています。

これによって、僕のようなサッカー初心者や、「かれこれ10年間まともな運動はしてないっす!」という主婦も参加することができて、おかげで『ファミリーフットサル』の現場は、いつも老若男女。

実は年末におこなっている『天才万博』という5日間の音楽フェスもそうで、小学生以下無料(中学生でも「小学生」と言い張れば無料!)なので、会場には、子供達がたくさん。
#酔っ払いもたくさん

出演者は、ケルトアイリッシュ)系&カントリー系のアーティストさんをはじめ、
踊ろうマチルダ」や「チャラン・ポ・ランタン」といった浮世離れ系のアーティストさんがズラリ。

皆、会場に子供がたくさんいることを前提に出ているので、子供が興奮あまってステージに上がると、それに合わせてアドリブで(子供の暴走が活きるように)演奏を続け、それを見て、親や酔っ払いが拍手喝采
その光景を見て、ダイノジ大地さんが号泣するまでがワンセットです。

プロが子供を外にはじく理由に、「クオリティーが下がるから」があると思うのですが、エンタメにおける「クオリティー」の本質は「技術」などではなく、「お客さんの満足度」であるはずで、
子供が真ん中にいるファミリーフットサルや『天才万博』を見る度に、「どこがクオリティーが低いんだよ」と、いつも思います。

これまで、たくさんのチームやイベント、時に文化を作って来ましたが、僕は「子供が入ったらクオリティーが落ちてしまうこと」が問題なのではなくて、「子供が入ったらクオリティーが落ちてしまう仕組みにしてしまっていること」が問題だと思っています。

昨日、ファミリーフットサルのお手伝いにきてくれていた CHIMNEYTOWNのインターン生のザッキーから、「フットサルのチケットが毎回完売するのですが、上手い人ばかりが集まってしまうと先がないと思うので、今後は『ファミリー枠』を別で設けて、必ず1チームに子供が入るようにしようと思います」と提案されて、最高だと思いました。

文化を存続させる為には、「ものさし」の創造が必要です。
それこそファミリーフットサルに参加してくださっている経験者さんや、天才万博のアーティストさんやスタッフさんや、大人のお客さんが、子供の暴走を絶妙に笑い話にしてくれた時に、「100点」がつくような「ものさし」が必要なのだと思います。 

歴史を振り替えると、子供を守り、子供に守られているコミュニティーしか残っていません。

アーティストも、お客さんも、酔っ払いも一丸となって、子供をフォローしながら、肯定しながら、笑い話に持っていく『天才万博』を見て号泣している大地さんをバカにしながら、実はいつもコッソリ泣きそうになっている西野は、こんな空間を、あと何個か作っていきたいと思います。

現場からは以上です。

【追伸】
https://salon.jp/nishino」を付けて今日の記事の感想を呟いていただけたら、西野がエゴサーチで見つけ出してニヤニヤします。
宜しくお願いいたします。

▼『天才万博』にいつも出てくださっているトリコロールさん。毎年年末はこんな音楽を聴きながら、酔っぱらって、泣いたり笑ったりしています。

https://www.youtube.com/watch?v=Ia_NqztuOv0

 

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